Sign~心のメッセージ~
20時・・・柳宿は、あの公園に来ていた
もうすぐ、翼宿がやってくる
鞄の中には、昼間に作ったクッキー
鳳綺には、無理を言って抜けさせて貰った
もうすぐ・・・彼に会える
その時、冷たい缶が頬にあたった
見上げると、翼宿が片手をあげて立っていた
『お疲れ様・・・』
『待たせたな』
『あの・・・あたし、これ・・・』
『まぁ、せっかくやし、家来る?』
その言葉に、柳宿は驚いた
『今夜は、冷えるで。そっちのが、ゆっくり話出来るやろ』
それはそうだが・・・柳宿にとっては、初めての男の人の家
男の人とまともに会話が出来る・・・というのも、初めてなのに
だけど、もっと彼の事を知りたかった
何よりも、彼なら信じられる気がしたから
『散らかってるけど、気にせんといて』
翼宿は、苦笑いしながら部屋に通す
そんな事はない
とても綺麗に整頓された部屋だった
いかにも大学生・・・といった感じの部屋だった
『適当に座っといてな。軽いもん出すわ』
柳宿は、恐る恐る中に入る
軽い茶菓子を出され、やっと一息ついた
『すまんな。こんな遅くに外出てきてもろて・・・鳳綺はん、平気やった?』
『平気・・・。鳳綺も、翼宿・・・の存在に感謝してたから』
手話で「さん」付けをするのを一瞬ためらった・・・が、場に流してそう呼ぶ事にした
『んな大層な事しとらんやん。基本、悩んでる子、放っておけへんしな』
健康な子に声をかけるように、平然と言う
そういう差別心がない翼宿に、柳宿は惹かれたのだ
『・・・・・・ありがとう。翼宿が、鳳綺以外のあたしの初めての友達・・・』
その言葉に、翼宿は柳宿を見た
『・・・・・・・・・・・あたし、ずっと外に出られなかったんだ。親戚に拒絶されてから・・・何か怖くて』
『そっか』
『外に出れば・・・こんないい人もいるのにね』
『せやけど、ホンマ危ない奴もおるから、気つけよ』
柳宿は、それでも嬉しそうに頷く
普通に会話できるこの空間が、好きだった
『そうだ・・・。これ!!クッキー、焼いてきたんだ。下手だけど・・・』
『おお!!何や~別に気遣わんでもえぇのに!!』
笑顔で受け取ってくれた
『ううん・・・3回も助けてもらっちゃったし、お礼に・・・』
『そっか・・・せっかくやし、貰っとくわ。すまんな』
ふと、机の上の手紙の山が目に入った
それで、一発でラブレターだと分かった
『・・・・・・モテるんだね』
『ん?あんなん、ただの悪戯やて!!』
『そんな事ないよ~翼宿、かっこいいじゃん』
普通に出てしまうその言葉
未だに、自分のこの気持ちは恋なのか分からない
しかし、間違いなく今、この瞬間自分はドキドキしている
『ま~た、何か悩んどるやろ?』
突然かけられた言葉に、驚く
『どうして?』
『分かりやすいやっちゃな~俺には分かるんや!!』
その言葉に、ドキッとなる
『何かあった?何でも話してえぇんやで。これからも、相談に乗るし』
『・・・・・・・・本当?』
『ああ』
鳳綺に、自分がいづらいという事は打ち明けたが、やはりそれでも気を遣うのは変わらなかった
その他に、何でも打ち明けられる存在に出会えたのは嬉しい事だった
しかし・・・この相談は、鳳綺にした方が適宜といえば適宜
目の前の好きな人に相談するのは、気が引ける
だけど・・・・・・・大学で実際に勉強をしている人の意見も聞いてみたかった
それが、例え好きな人でも
『・・・・・・・私ね、友達は本当に少なくても構わないんだ・・・・・。だけど・・・・時々、羨ましくなる。鳳綺に彼氏が出来てから・・・それがますます募ってきた・・・私も、恋したいなぁって・・・思う』
女の子の純な悩み
そう。自分を受け入れてくれる人がほしい
翼宿は、しばらく考え込んでいた
やはり、唐突過ぎただろうか?
『・・・・・・・・・・・えぇんやないか?そりゃ、厳しい話、ある程度お前とコミニュケーション取れる奴やないと、難しいと思うけど・・・せやけど、好きな人に好きて伝える事や、一途に思い続ける事は大切や。人間として生まれてきた以上、それは誰しもが持つ権利やないんかな』
壁なんて、何のその
当たり前の事を、当たり前のように語る翼宿
その言葉に、柳宿の胸は熱くなった
『・・・・・・そうかな』
『もし、好きな奴が出来たら俺がバックサポートしたるからなv』
気まずさは・・・少々感じたが
彼は、自分の気持ちにはまったく気づいていない
嬉しかった・・・彼が少しも自分や障害者に対して偏見を持っていない事が
『今日は、ありがとう』
『いや。また、来いよ。メール待ってる』
柳宿は、アパートまで翼宿に送ってもらっていた
『うん・・・勉強もバイトも頑張ってね』
『おおきに。お前もな。少しは勉強しろよvじゃあな』
手を振ると、彼は階段を駆け下りていった
手を振った自分の手を・・・見つめて柳宿は思う
あの人を好きと・・・・・認めてもいいよね?
ブロロロロロ
もと来た道を戻る
国道に出ると・・・誰かが自分の前を歩いてきた
「翼宿」
声をかけられ、立ち止まる
そこには、玲麗の嫉妬に燃えた姿があった
もうすぐ、翼宿がやってくる
鞄の中には、昼間に作ったクッキー
鳳綺には、無理を言って抜けさせて貰った
もうすぐ・・・彼に会える
その時、冷たい缶が頬にあたった
見上げると、翼宿が片手をあげて立っていた
『お疲れ様・・・』
『待たせたな』
『あの・・・あたし、これ・・・』
『まぁ、せっかくやし、家来る?』
その言葉に、柳宿は驚いた
『今夜は、冷えるで。そっちのが、ゆっくり話出来るやろ』
それはそうだが・・・柳宿にとっては、初めての男の人の家
男の人とまともに会話が出来る・・・というのも、初めてなのに
だけど、もっと彼の事を知りたかった
何よりも、彼なら信じられる気がしたから
『散らかってるけど、気にせんといて』
翼宿は、苦笑いしながら部屋に通す
そんな事はない
とても綺麗に整頓された部屋だった
いかにも大学生・・・といった感じの部屋だった
『適当に座っといてな。軽いもん出すわ』
柳宿は、恐る恐る中に入る
軽い茶菓子を出され、やっと一息ついた
『すまんな。こんな遅くに外出てきてもろて・・・鳳綺はん、平気やった?』
『平気・・・。鳳綺も、翼宿・・・の存在に感謝してたから』
手話で「さん」付けをするのを一瞬ためらった・・・が、場に流してそう呼ぶ事にした
『んな大層な事しとらんやん。基本、悩んでる子、放っておけへんしな』
健康な子に声をかけるように、平然と言う
そういう差別心がない翼宿に、柳宿は惹かれたのだ
『・・・・・・ありがとう。翼宿が、鳳綺以外のあたしの初めての友達・・・』
その言葉に、翼宿は柳宿を見た
『・・・・・・・・・・・あたし、ずっと外に出られなかったんだ。親戚に拒絶されてから・・・何か怖くて』
『そっか』
『外に出れば・・・こんないい人もいるのにね』
『せやけど、ホンマ危ない奴もおるから、気つけよ』
柳宿は、それでも嬉しそうに頷く
普通に会話できるこの空間が、好きだった
『そうだ・・・。これ!!クッキー、焼いてきたんだ。下手だけど・・・』
『おお!!何や~別に気遣わんでもえぇのに!!』
笑顔で受け取ってくれた
『ううん・・・3回も助けてもらっちゃったし、お礼に・・・』
『そっか・・・せっかくやし、貰っとくわ。すまんな』
ふと、机の上の手紙の山が目に入った
それで、一発でラブレターだと分かった
『・・・・・・モテるんだね』
『ん?あんなん、ただの悪戯やて!!』
『そんな事ないよ~翼宿、かっこいいじゃん』
普通に出てしまうその言葉
未だに、自分のこの気持ちは恋なのか分からない
しかし、間違いなく今、この瞬間自分はドキドキしている
『ま~た、何か悩んどるやろ?』
突然かけられた言葉に、驚く
『どうして?』
『分かりやすいやっちゃな~俺には分かるんや!!』
その言葉に、ドキッとなる
『何かあった?何でも話してえぇんやで。これからも、相談に乗るし』
『・・・・・・・・本当?』
『ああ』
鳳綺に、自分がいづらいという事は打ち明けたが、やはりそれでも気を遣うのは変わらなかった
その他に、何でも打ち明けられる存在に出会えたのは嬉しい事だった
しかし・・・この相談は、鳳綺にした方が適宜といえば適宜
目の前の好きな人に相談するのは、気が引ける
だけど・・・・・・・大学で実際に勉強をしている人の意見も聞いてみたかった
それが、例え好きな人でも
『・・・・・・・私ね、友達は本当に少なくても構わないんだ・・・・・。だけど・・・・時々、羨ましくなる。鳳綺に彼氏が出来てから・・・それがますます募ってきた・・・私も、恋したいなぁって・・・思う』
女の子の純な悩み
そう。自分を受け入れてくれる人がほしい
翼宿は、しばらく考え込んでいた
やはり、唐突過ぎただろうか?
『・・・・・・・・・・・えぇんやないか?そりゃ、厳しい話、ある程度お前とコミニュケーション取れる奴やないと、難しいと思うけど・・・せやけど、好きな人に好きて伝える事や、一途に思い続ける事は大切や。人間として生まれてきた以上、それは誰しもが持つ権利やないんかな』
壁なんて、何のその
当たり前の事を、当たり前のように語る翼宿
その言葉に、柳宿の胸は熱くなった
『・・・・・・そうかな』
『もし、好きな奴が出来たら俺がバックサポートしたるからなv』
気まずさは・・・少々感じたが
彼は、自分の気持ちにはまったく気づいていない
嬉しかった・・・彼が少しも自分や障害者に対して偏見を持っていない事が
『今日は、ありがとう』
『いや。また、来いよ。メール待ってる』
柳宿は、アパートまで翼宿に送ってもらっていた
『うん・・・勉強もバイトも頑張ってね』
『おおきに。お前もな。少しは勉強しろよvじゃあな』
手を振ると、彼は階段を駆け下りていった
手を振った自分の手を・・・見つめて柳宿は思う
あの人を好きと・・・・・認めてもいいよね?
ブロロロロロ
もと来た道を戻る
国道に出ると・・・誰かが自分の前を歩いてきた
「翼宿」
声をかけられ、立ち止まる
そこには、玲麗の嫉妬に燃えた姿があった