ホーリー母校に帰る

カラーンコローンカラーン
教会の鐘が鳴る
「先生~~~~~vvv」
スーツをびしっと決めた星宿は、声をかけられて振り向いた
「おぉ!!お前ら・・・来てくれたんだな!!」
「あったりまえですよvだって、今日は星宿先生と鳳綺先生の結婚式ですよv」
鬼宿もまた、スーツを格好よく決めて胸を張る
「先生!!結婚するの早すぎだよぉ!!まだ、赴任して一年目なのにだよぉ~?」
美朱も、綺麗に着飾った格好で、星宿をどつく
「いやぁ・・・どういう事だか・・・なぁ」
「おめでとうございます。先生・・・」
「ありがとう。井宿」
井宿も、ニコニコ顔で祝福する
「結婚してからも、ずっと僕らの先生でいてくださいねぇ~」
涙ぐんだ張宿の頭を星宿は、そっと撫でる
「安心しろ。心配はいらないよ」
「先生。これからは、ご自分の幸せに精を入れて、頑張ってください」
軫宿も、微笑む
「お前もな。まだまだ人生、これからだからな?しっかり生きろよ」
「平気です。こいつらが・・・いてくれるから」
その顔に、迷いはなかった
「先生~~~v本日は、おめでとうございまぁすv」
後ろから、思い切り背中を叩いてきたのは房宿
「房宿先生・・・せっかくのヘアスタイルが、崩れるではないですか・・・」
「やだわぁvまさかとは思うけど、本当に鳳綺先生とご結婚しちゃうんですもぉんv」
「房宿。神聖な日だ。もっと静粛に振る舞えぬか」
「あらvやだわv心宿先生!!すみません~v」
「ちょっと!!私の心宿に、ちょっかい出さないでくれる!?馴れ馴れしい!!」
「何よ。氏宿先生!!最近、いきなり口が達者になったと思ったら・・・私の心宿先生によくも・・・」
房宿と氏宿は、心宿を間に挟んで、口喧嘩を始めた
「これこれ・・・。良い大人がしっかりせんかい」
「相変わらずですね・・・」
太一君校長と、朱雀主任も苦笑いをする
「おめでとう。星宿・・・そして、この一年間、よく頑張ったね」
「校長。ありがとうございます。校長の全面的支援のお陰です」
「私も、君の教育に対する姿勢は、見習うべきだと思ったよ。一年目なのに、非常にしっかりしていた」
「やめてくださいよ・・・朱雀主任」
「それよりも、太一君校長。今日の祝辞、しっかり決めてきたんですか?」
「それは勿論じゃ!!教え子の結婚式じゃぞ!!いつも以上に張り切って書いた!!」
そう言って、太一君校長は、懐からはちきれんばかりに祝辞の原稿を詰めた封筒を取り出した
「果たして、何時間かかるか・・・」
「校長。書き直しましょう・・・?ね・・・?」
その場に、笑い声が起こった
「ちょっとぉ~~~~~~」
その声に、皆が振り向いた
「柳宿!!」
「あんたら、あたしを置いてかないでよね!!」
「だってぇ~、柳宿はまた翼宿のトコ、行ってたんでしょ?」
「しょうがないじゃない!!あいつもあいつなりにお祝いしたがってたのよ!!」
そのまま、星宿の前に立つ
「・・・先生。ご結婚、おめでとうございます」
「ありがとう」
「あのね。翼宿が・・・先生に・・・はい。手紙」
「おぉ。私にか?・・・後、どれくらいで・・・出られるんだ?」
「後、一ヶ月程度かな・・・でも、真面目にしてる。警察も、感心してるわ。あいつの更生っぷりには」
「そうか・・・」

あれから、数々の悪事を繰り返してきたTSUBASAは、警察に集団連行された
今は、刑務所に入れられている
だけど、翼宿は真面目に振る舞った
刑務所の中では、勉強もしているという
刑務所の面会室で会う翼宿は、今までとは全然違っていた
明るく、時には悪ふざけをし、熱い男に戻っていた

「私も、もう少ししたら挨拶に行こうと思っているよ」
「だぁめよ!!刑務所から出られるまでは、あたしだけ!!」
「ノロケんなよ。柳宿ぉ~」
「何よぉ。だったら、あんた達も早く結婚しなさいよv」
「よぉし!!するか。美朱ぁ!!」
「馬鹿!!何言ってんのよ!!鬼宿!!」
また、鬼宿と美朱のイチャつきが始まり、皆はやれやれとため息をつく

「ご新郎。準備をしてください」
係の人に呼ばれた
「じゃあ、先生!!待ってるからねv」
「鳳綺先生のウェディングドレス、楽しみだなぁv」
「きっと、とっても綺麗ですよ!!」
「そ・・・そうか?じゃあ・・・後でな」
そう言って、星宿は生徒たちと別れた

新郎の待合室で、星宿は、そっと手紙を開いた

『星宿先生----・・・。俺が、あなたを先生とお呼びするのは変かもしれません。だけど・・・今だけは、呼ばせてください。

ご結婚おめでとうございます。お祝いに行けないのが、非常に残念です。

先生に色々と伝えたい事があり、柳宿にこの手紙を託しました。

本当に・・・今までご迷惑ご心配をおかけしました。今更とは分かっていますが、どうかお許しください。

俺・・・先生や柳宿に出会えて、本当によかったです。そうでなければ、俺はあのまま・・・街の中を暴走し続けていました。

俺の気持ちなんて、誰も分かってくれないと思っていました。一度は、先生に喧嘩を売った事もあるのに・・・

それでも、先生は俺と話をしてくれた。一度は、柳宿を襲ったのに・・・あいつは、俺を救ってくれた。

まだまだ、人の優しさも捨てたもんじゃないと思いました。

だから・・・俺も、まだ遅くないならたくさんの人に優しくなろうと思います。柳宿と一緒に・・・

刑務所の中は、予想以上に厳しいです。今まで、好き勝手してきた俺には、最高の環境だと思っています。

予定では、後一ヶ月で出られるそうです。出所したら、まず真っ先に先生に会いに行きます。

それと、俺・・・今、教師になる勉強をしています。元暴走族の団長が、教師志望なんて笑ってしまうかもしれませんが、

星宿先生みたいな教師になりたいんです・・・。そして、今までの償いの為に、生徒たちを救ってあげたいんです。

もしかしたら、だらしのない俺は、また挫けてしまうかもしれませんが、その時はアドバイスよろしくお願いします。

先生は・・・俺の恩師です。これからも、頑張ってください。---------------------------------翼宿』

そこまで読んで、星宿は笑みを零した
「ご新郎。時間です」
星宿は、そっとドアを開けた

ここから、また新たなスタートが始まる
またあの生徒たちと生きていいこう
転んだときは、支えてあげよう
そして・・・あの母校で起こったたくさんの事件が詰まったあの一年間を、私は忘れない----・・・・。
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