Flying Stars
(そうだよね。鈴菜ちゃんは翼宿の事好き・・・なんだもんね)
「柳宿~?いつまで寝てるの?今日、収録じゃないの~?」
起き上がれない
辛い
収録に行きたくない
鈴菜の顔
翼宿の顔
見たくない
時刻は午後5時
8時からの収録だから、遅くとも5時半には家を出なければならない
(駄目だ・・・キーボードなんて、いなくていいじゃん。今日はキャンセル・・・)
Plllll
携帯の着信音が鳴る
着信画面には「鬼宿」
出られない
(負けず嫌いが取柄だったのに、何であんな場面見ただけで。
あんな場面・・・?違うよ。あたしにとっては本当に・・・)
「・・・出ないな」
鬼宿が電話を切る
「どうしたってんだ・・・いつもなら連絡よこすのに・・・後2時間で本番だろ・・・」
夕城プロも慌てふためいている
翼宿はビルの外を見つめながら煙草を吹かしている
「翼宿・・・昨日、ちゃんと柳宿送ったのか?まさか、昨日お前ら何か・・・」
「見られた」
「え・・・?」
「鈴菜に告られたとこ・・・見られてたんや・・・」
その言葉に鬼宿は絶句した
5回目の着信
涙が滲む
(どうしよう。どうすればいいの?こんなんじゃ、益々、嫌われちゃうじゃない。
あいつに・・・)
Plllll
鬼宿の着信音ではない着信音が鳴った
見ると
「愛内鈴菜」
一応、交換していた鈴菜の番号だった
現実と直面した
柳宿は出ずにいられなかった
ガチャ
「・・・もしもし」
『もしもし?柳宿さんですか?』
「鈴菜ちゃん・・・」
『何やってるんですか?もうすぐ本番です。メンバーもみんな心配してるんですよ?』
「・・・・・」
『・・・昨日のことですか』
「・・・えっ・・・」
『恋愛が上手くいかなくなったくらいで、夢捨てるんですか?』
「・・・それは・・・」
『・・・そんな柳宿さんから・・・あたしが翼宿を・・・・・・奪いたかったのに』
「え・・・?」
『安心してください。フラれましたよ』
「えっ!?」
『きっぱり・・・今はバンドの事しか考えられないって言ってましたけど・・・その時分かりました。あの人は音楽と同じくらい、あなたの事ばかり・・・考えているんです』
「何言ってるの・・・?そんな事・・・」
『大丈夫です。あたし、熱しやすく冷めやすいタイプなので、もう諦めました。今日は仕事のパートナーとして真剣に仕事させていただきたいと思って来ました』
「・・・・・」
『これでも来ない気ですか?あたしに失礼だと思わないんですか?待っててくれてる・・・翼宿にも』
柳宿は鞄を掴んだ
電話を切って、下に降りると兄の呂候が階下で待っていた
「柳宿。送るよ」
「えっ・・・兄貴・・・」
「車じゃなきゃ、間に合わないだろ」
「・・・ありがと」
端から零れる涙を拭った
ガチャッ
「柳宿・・・」
ギリギリセーフで楽屋に滑り込んだ
「ごめっ・・・あたし・・・」
鬼宿は全て分かっていた
「ほら!さっさと支度しろ!!」
衣装を手渡され、鬼宿と夕城プロは先に楽屋を後にした
翼宿は吸っていた煙草を灰皿に押し付けた
目が合う
「翼宿・・・あの・・・」
絶対、怒られる
近寄る翼宿に目を瞑る
翼宿は柳宿の髪をくしゃっと撫でると、そのまま楽屋を出た
足音が遠ざかる
柳宿は顔が真っ赤だった
(やっぱり、翼宿は待っててくれたんだ・・・)
柳宿は衣装に身を包み、鏡に向かうと深呼吸をした
「よし!!」
いつもの柳宿に戻った気がした
収録は無事終了
幸い生放送ではなかったので、番組に特に支障は出なかった
しかし、柳宿は自分の恋心ごときに仕事を投げ出そうとした自分が恥ずかしくなった
収録が終わり、鬼宿に謝った
「たま・・・ごめんね・・・あたし・・・」
「何も聞かないよ・・・お前も色々大変だったんだろ」
優しいリーダーだ
「女の都合って奴?柳宿も乙女なんだもんなぁ~」
「そんな事・・・!!」
「翼宿、楽屋いるぞ。話してきたらどうだ?」
「・・・うん」
謝らなきゃ
色々
ドアを開けると窓に腰掛けて煙草を吸う翼宿がいた
「翼宿・・・」
呼びかけるとこちらを向いて
「お疲れ」
変わらない態度を示した
「怒らない・・・の?」
「何が?」
「だって、あたし仕事投げ出そうとしたんだよ?あんた達がいるのに・・・」
「ホンマに?」
「え?」
「ホンマに投げ出そうとしたん?」
「・・・・・」
「投げ出したかった奴が言う台詞やない。お前はこうしてここにおる。それでえぇやないか」
長く煙を吐く翼宿はとても頼りがいがあった
柳宿は椅子に腰掛けた
「ねぇ、昨日さ・・・断った・・・の?」
「ん?」
「鈴菜ちゃんの・・・」
「あぁ」
「音楽が大切だからって言ったんだって?」
「まぁ」
「本当に・・・それだけ?」
「それだけや」
気になった
「他に・・・好きな子でもいるとか・・・?」
「・・・さぁ」
まぁこれ以上つっこんでも変だろう
ちょっと気になったが、とりあえず鈴菜にとられなくてほっとした
「昨日、あたし・・・びっくりしちゃってさ・・・ごめん」
「それで来づらかったん?」
「え・・・?」
「今日」
「あぁ・・・まぁ・・・」
翼宿は何でもお見通しだ
「仕事とプライベートは別や。それくらいは知ってるやろ」
「ごめんなさい・・・」
少し沈黙
「・・・ねぇ」
「ん?」
「あのさ・・・あたし・・・」
「何や?」
「あたし・・・ここにいてもいいの?」
「何で?」
「翼宿と一緒にこれからも・・・」
まっすぐに翼宿の瞳を見る
「・・・お前以外に誰がおんねん」
「本当に・・・?」
「俺が認めた女や」
その言葉に鼓動が鳴った
(本当に・・・?あたしを認めてくれてたの・・・?)
「翼宿・・・」
涙が溢れる
「泣くな アホ」
相変わらず冷たいけど
愛しい
「ありがと・・・」
好きだから、こんな気持ちになるんだよね・・・?
「柳宿~?いつまで寝てるの?今日、収録じゃないの~?」
起き上がれない
辛い
収録に行きたくない
鈴菜の顔
翼宿の顔
見たくない
時刻は午後5時
8時からの収録だから、遅くとも5時半には家を出なければならない
(駄目だ・・・キーボードなんて、いなくていいじゃん。今日はキャンセル・・・)
Plllll
携帯の着信音が鳴る
着信画面には「鬼宿」
出られない
(負けず嫌いが取柄だったのに、何であんな場面見ただけで。
あんな場面・・・?違うよ。あたしにとっては本当に・・・)
「・・・出ないな」
鬼宿が電話を切る
「どうしたってんだ・・・いつもなら連絡よこすのに・・・後2時間で本番だろ・・・」
夕城プロも慌てふためいている
翼宿はビルの外を見つめながら煙草を吹かしている
「翼宿・・・昨日、ちゃんと柳宿送ったのか?まさか、昨日お前ら何か・・・」
「見られた」
「え・・・?」
「鈴菜に告られたとこ・・・見られてたんや・・・」
その言葉に鬼宿は絶句した
5回目の着信
涙が滲む
(どうしよう。どうすればいいの?こんなんじゃ、益々、嫌われちゃうじゃない。
あいつに・・・)
Plllll
鬼宿の着信音ではない着信音が鳴った
見ると
「愛内鈴菜」
一応、交換していた鈴菜の番号だった
現実と直面した
柳宿は出ずにいられなかった
ガチャ
「・・・もしもし」
『もしもし?柳宿さんですか?』
「鈴菜ちゃん・・・」
『何やってるんですか?もうすぐ本番です。メンバーもみんな心配してるんですよ?』
「・・・・・」
『・・・昨日のことですか』
「・・・えっ・・・」
『恋愛が上手くいかなくなったくらいで、夢捨てるんですか?』
「・・・それは・・・」
『・・・そんな柳宿さんから・・・あたしが翼宿を・・・・・・奪いたかったのに』
「え・・・?」
『安心してください。フラれましたよ』
「えっ!?」
『きっぱり・・・今はバンドの事しか考えられないって言ってましたけど・・・その時分かりました。あの人は音楽と同じくらい、あなたの事ばかり・・・考えているんです』
「何言ってるの・・・?そんな事・・・」
『大丈夫です。あたし、熱しやすく冷めやすいタイプなので、もう諦めました。今日は仕事のパートナーとして真剣に仕事させていただきたいと思って来ました』
「・・・・・」
『これでも来ない気ですか?あたしに失礼だと思わないんですか?待っててくれてる・・・翼宿にも』
柳宿は鞄を掴んだ
電話を切って、下に降りると兄の呂候が階下で待っていた
「柳宿。送るよ」
「えっ・・・兄貴・・・」
「車じゃなきゃ、間に合わないだろ」
「・・・ありがと」
端から零れる涙を拭った
ガチャッ
「柳宿・・・」
ギリギリセーフで楽屋に滑り込んだ
「ごめっ・・・あたし・・・」
鬼宿は全て分かっていた
「ほら!さっさと支度しろ!!」
衣装を手渡され、鬼宿と夕城プロは先に楽屋を後にした
翼宿は吸っていた煙草を灰皿に押し付けた
目が合う
「翼宿・・・あの・・・」
絶対、怒られる
近寄る翼宿に目を瞑る
翼宿は柳宿の髪をくしゃっと撫でると、そのまま楽屋を出た
足音が遠ざかる
柳宿は顔が真っ赤だった
(やっぱり、翼宿は待っててくれたんだ・・・)
柳宿は衣装に身を包み、鏡に向かうと深呼吸をした
「よし!!」
いつもの柳宿に戻った気がした
収録は無事終了
幸い生放送ではなかったので、番組に特に支障は出なかった
しかし、柳宿は自分の恋心ごときに仕事を投げ出そうとした自分が恥ずかしくなった
収録が終わり、鬼宿に謝った
「たま・・・ごめんね・・・あたし・・・」
「何も聞かないよ・・・お前も色々大変だったんだろ」
優しいリーダーだ
「女の都合って奴?柳宿も乙女なんだもんなぁ~」
「そんな事・・・!!」
「翼宿、楽屋いるぞ。話してきたらどうだ?」
「・・・うん」
謝らなきゃ
色々
ドアを開けると窓に腰掛けて煙草を吸う翼宿がいた
「翼宿・・・」
呼びかけるとこちらを向いて
「お疲れ」
変わらない態度を示した
「怒らない・・・の?」
「何が?」
「だって、あたし仕事投げ出そうとしたんだよ?あんた達がいるのに・・・」
「ホンマに?」
「え?」
「ホンマに投げ出そうとしたん?」
「・・・・・」
「投げ出したかった奴が言う台詞やない。お前はこうしてここにおる。それでえぇやないか」
長く煙を吐く翼宿はとても頼りがいがあった
柳宿は椅子に腰掛けた
「ねぇ、昨日さ・・・断った・・・の?」
「ん?」
「鈴菜ちゃんの・・・」
「あぁ」
「音楽が大切だからって言ったんだって?」
「まぁ」
「本当に・・・それだけ?」
「それだけや」
気になった
「他に・・・好きな子でもいるとか・・・?」
「・・・さぁ」
まぁこれ以上つっこんでも変だろう
ちょっと気になったが、とりあえず鈴菜にとられなくてほっとした
「昨日、あたし・・・びっくりしちゃってさ・・・ごめん」
「それで来づらかったん?」
「え・・・?」
「今日」
「あぁ・・・まぁ・・・」
翼宿は何でもお見通しだ
「仕事とプライベートは別や。それくらいは知ってるやろ」
「ごめんなさい・・・」
少し沈黙
「・・・ねぇ」
「ん?」
「あのさ・・・あたし・・・」
「何や?」
「あたし・・・ここにいてもいいの?」
「何で?」
「翼宿と一緒にこれからも・・・」
まっすぐに翼宿の瞳を見る
「・・・お前以外に誰がおんねん」
「本当に・・・?」
「俺が認めた女や」
その言葉に鼓動が鳴った
(本当に・・・?あたしを認めてくれてたの・・・?)
「翼宿・・・」
涙が溢れる
「泣くな アホ」
相変わらず冷たいけど
愛しい
「ありがと・・・」
好きだから、こんな気持ちになるんだよね・・・?