Trick or Treat?
「失礼します・・・」
ヌリコは、職員室の重い扉を開いた
「おう、ヌリコ!!どうした?」
体育教師でもあるタマホメが、ヌリコに声をかけた
「タマホメ先生・・・あの、ホトホリ先生いらっしゃいますか・・・?」
「あぁ。ホトホリ先生は、今出てるよ。もうすぐで戻られるんじゃないかな」
ヌリコは、昨日タスキに言われた通りに、学年主任のホトホリになぜ自分が検定に合格出来ないのかその理由について聞いてみる事にした
「そういえば、ヌリコ!!昨日の魔法体育、お前がトップだぞ!!もう、箒の扱い方は、完璧だな♪」
タマホメは、そう言って陽気に笑う
「ありがとう・・・ございます」
このタマホメの言葉からも分かるように、魔法関係の教科は、至って満点な筈
では、なぜ合格出来ないのか?
その時
ガラッ
「あ。ホトホリ先生!!お疲れ様です!!」
開いた扉の向こうに、その監督指揮官のホトホリはいた
「・・・ホトホリ先生」
「おう。ヌリコ。どうした?」
「あの・・・」
タマホメは、そのまま帰路へついた
職員室には、ヌリコとホトホリの二人きり
「つかぬ事をお聞きします・・・ホトホリ先生。あたし・・・どうして、魔女検定に合格出来ないんでしょうか・・・?」
「え・・・?」
その言葉に、ホトホリは振り返った
「すみません・・・でも、あたし・・・成績は、満点取るように心懸けてるし・・・真面目に勉強したくて、ここに入った筈です。なのに・・・どうして、あたしだけ・・・合格出来ないのかなって。何か、訳があるなら、教えていただけませんか・・・?」
「・・・・・」
その沈黙が、ヌリコはたまらなく恐かった
もしかして、ホトホリは、自分に個人的恨みでもあるのではないだろうか
(やっぱり、嫌われてるのかな・・・?)
「・・・ヌリコ」
「・・・え?」
「・・・私は」
(えっ・・・)
その瞬間、ヌリコは、ホトホリに抱きしめられていた
「ホトホリ・・・先生・・・?」
「すまなかった・・・。お前が、悩むと分かっていて、こんな事をしてしまって・・・。分かっていた・・・。お前は、誰よりも優秀だ。今すぐに高等部に上がらせてやっても良いくらい・・・、完璧で・・・立派な魔女なのだ・・・」
(そんな・・・じゃあ、なぜ?)
「教師として・・・こんな事を言うのは、恥であると分かっている。それでも、私は・・・・・・・・お前が好きだ!!」
(・・・え?)
「初めて出会った時から、お前にずっと恋心を抱いてきてしまっていた・・・。それで、進級をさせてしまっては・・・私が担当ではなくなってしまう・・・。お前と・・・離れ離れになってしまう・・・。私の欲が勝てなくて・・・、それで・・・。すまない。ヌリコ・・・」
(何を言っているの・・・?この人は・・・)
確かに、自分も体験入学で挨拶をしていたホトホリに密かな憧れは抱いていた
検定だって、半分はホトホリへのアピールの意味も入っていた
しかし・・・だからって、こんな事は・・・
ヌリコの頭の中が、ぐるぐる回る
いくら、ホトホリの個人的感情だからって、自分をその度に不合格にしてきたのか
そんな事、許される事ではない
「私と付き合って欲しい・・・。そうすれば・・・、お前を今からでも高等部へ・・・」
涙が溢れる
(そんな事って・・・)
ガシャーーーン
途端に、傍の窓ガラスが割れた
二人は、びっくりしてそちらへ振り返る
そこには
「やっぱ、人間は阿呆やな。そうやって・・・感情に毒づく奴がわんさかおりよる」
あの橙頭の吸血鬼
「タ・・・スキッ・・・」
「今、ヌリコが思うとる事、俺が言うてやろか?・・・お前は、阿呆や。自分で気づいて、止められへんかったなら、それ相応の阿呆や。ヌリコの気持ち、考えた事あるんか?毎日毎日・・・検定受かりたくて、必死に勉強して特訓して・・・それでも、自分に否あるんか・・・自信喪失した日かて、幾らでもあるやろ。せやのに、お前はそんなヌリコの気持ちを無視した。それが、愛て言えるんか?」
その言葉に、涙が溢れた
(こいつは、何を知っているというの・・・?あたしの何を・・・)
タスキが、指を鳴らしかたと思うと、自分の体は、ホトホリの腕の中からタスキの腕の中へと移っていた
「ヌリコ、借りとくで。少し、頭冷やせや」
そして、タスキはヌリコと共に消えた
「っく・・・うっ・・・ひっく・・・」
「だぁぁぁぁぁ!!!もう、泣くなぁ!!俺のマントが濡れよるやろがぁ!!!」
二人は、洞窟まで戻っていた
タスキのマントを引っつかんで、ずっと泣くヌリコ
さっきとは打って変わったタスキの態度
半分、照れ隠しも入っていたが
「だってっ・・・もう・・・あんたは・・・あたしの言いたいこと・・・全部言っちゃってぇ・・・」
「せやかて、あのままやと、お前、場に流されてたやろ」
否定できない
それでも、タスキに全てを語って貰ってどこか安心しているのだ
そんなヌリコの頭を不器用に撫でるタスキ
「たく・・・お前は。目放すと、どうなるか分からん。俺が、決死の覚悟で外の世界に飛びだして来たんやで?人間に見つかってたら、どうなってたか・・・」
「何で・・・そんな事、してくれたのよ・・・?」
「何で・・・って・・・、何で・・・やろな」
まさかタスキに助けられるとは思っていなかったヌリコは、素直に疑問に思うのだ
タスキは、気持ちが上手く言葉に出来ない
「けど・・・ありがと・・・。今回は・・・、あんたに助けられたわ」
「・・・・・・・・・」
「もう・・・お菓子期間は・・・終わりよね・・・?もう、ここには来ないから。本当ありがとう」
「・・・・・・・待て」
「え・・・?」
「いつでもえぇ・・・来い」
「でも・・・」
「お前程度の話し相手でも、いてもろた方が・・・えぇねん」
「タスキ・・・」
今は心を開きかけているこの吸血鬼に、ヌリコももっと会いたかったのだ
「素直に・・・寂しいって言いなさいよ!!」
「じゃっかあしわ!!この魔女!!」
次の瞬間、二人はまた口喧嘩を出来る活気が・・・自然と戻ってきていた
次の日
担任から渡された通知
進級試験なしで、進級をパスした証拠の証書だった
「・・・・・・・」
「どうしちゃったの・・・?ヌリコ」
隣で、それを見ていたホウキも疑問に思った
(きっと、あの後・・・ホトホリ先生が)
「失礼します」
再び、職員室の扉を開ける
「ホトホリ先生・・・」
主任の席に、ヌリコは向かう
「あの・・・」
「良いボーイフレンドがいるんだな」
「え・・・?」
「男として、情けないよ」
「先生・・・」
ホトホリは、静かに立ち上がり、こちらを向いた
「進級、おめでとう。ヌリコ。そして・・・許してくれ」
「ホトホリ先生・・・」
次の瞬間、ヌリコは笑顔を作った
「いいんです。先生・・・ありがとうございました!!」
そう言って、頭を下げる
「大切にしなさい。素敵な彼氏を・・・」
ホトホリは、そう言ってヌリコの肩に手を置く
「・・・・・・・・・・・???」
次の瞬間、ヌリコは疑問に気づく
「彼氏じゃないですっっっ!!!!!!!!!!!」
「へっくしょい!!!!」
吸血鬼は、棺桶の中でくしゃみをする
「風邪か・・・???」
まだまだ、あんたに付き合わなきゃいけないみたいね
ヌリコは、職員室の重い扉を開いた
「おう、ヌリコ!!どうした?」
体育教師でもあるタマホメが、ヌリコに声をかけた
「タマホメ先生・・・あの、ホトホリ先生いらっしゃいますか・・・?」
「あぁ。ホトホリ先生は、今出てるよ。もうすぐで戻られるんじゃないかな」
ヌリコは、昨日タスキに言われた通りに、学年主任のホトホリになぜ自分が検定に合格出来ないのかその理由について聞いてみる事にした
「そういえば、ヌリコ!!昨日の魔法体育、お前がトップだぞ!!もう、箒の扱い方は、完璧だな♪」
タマホメは、そう言って陽気に笑う
「ありがとう・・・ございます」
このタマホメの言葉からも分かるように、魔法関係の教科は、至って満点な筈
では、なぜ合格出来ないのか?
その時
ガラッ
「あ。ホトホリ先生!!お疲れ様です!!」
開いた扉の向こうに、その監督指揮官のホトホリはいた
「・・・ホトホリ先生」
「おう。ヌリコ。どうした?」
「あの・・・」
タマホメは、そのまま帰路へついた
職員室には、ヌリコとホトホリの二人きり
「つかぬ事をお聞きします・・・ホトホリ先生。あたし・・・どうして、魔女検定に合格出来ないんでしょうか・・・?」
「え・・・?」
その言葉に、ホトホリは振り返った
「すみません・・・でも、あたし・・・成績は、満点取るように心懸けてるし・・・真面目に勉強したくて、ここに入った筈です。なのに・・・どうして、あたしだけ・・・合格出来ないのかなって。何か、訳があるなら、教えていただけませんか・・・?」
「・・・・・」
その沈黙が、ヌリコはたまらなく恐かった
もしかして、ホトホリは、自分に個人的恨みでもあるのではないだろうか
(やっぱり、嫌われてるのかな・・・?)
「・・・ヌリコ」
「・・・え?」
「・・・私は」
(えっ・・・)
その瞬間、ヌリコは、ホトホリに抱きしめられていた
「ホトホリ・・・先生・・・?」
「すまなかった・・・。お前が、悩むと分かっていて、こんな事をしてしまって・・・。分かっていた・・・。お前は、誰よりも優秀だ。今すぐに高等部に上がらせてやっても良いくらい・・・、完璧で・・・立派な魔女なのだ・・・」
(そんな・・・じゃあ、なぜ?)
「教師として・・・こんな事を言うのは、恥であると分かっている。それでも、私は・・・・・・・・お前が好きだ!!」
(・・・え?)
「初めて出会った時から、お前にずっと恋心を抱いてきてしまっていた・・・。それで、進級をさせてしまっては・・・私が担当ではなくなってしまう・・・。お前と・・・離れ離れになってしまう・・・。私の欲が勝てなくて・・・、それで・・・。すまない。ヌリコ・・・」
(何を言っているの・・・?この人は・・・)
確かに、自分も体験入学で挨拶をしていたホトホリに密かな憧れは抱いていた
検定だって、半分はホトホリへのアピールの意味も入っていた
しかし・・・だからって、こんな事は・・・
ヌリコの頭の中が、ぐるぐる回る
いくら、ホトホリの個人的感情だからって、自分をその度に不合格にしてきたのか
そんな事、許される事ではない
「私と付き合って欲しい・・・。そうすれば・・・、お前を今からでも高等部へ・・・」
涙が溢れる
(そんな事って・・・)
ガシャーーーン
途端に、傍の窓ガラスが割れた
二人は、びっくりしてそちらへ振り返る
そこには
「やっぱ、人間は阿呆やな。そうやって・・・感情に毒づく奴がわんさかおりよる」
あの橙頭の吸血鬼
「タ・・・スキッ・・・」
「今、ヌリコが思うとる事、俺が言うてやろか?・・・お前は、阿呆や。自分で気づいて、止められへんかったなら、それ相応の阿呆や。ヌリコの気持ち、考えた事あるんか?毎日毎日・・・検定受かりたくて、必死に勉強して特訓して・・・それでも、自分に否あるんか・・・自信喪失した日かて、幾らでもあるやろ。せやのに、お前はそんなヌリコの気持ちを無視した。それが、愛て言えるんか?」
その言葉に、涙が溢れた
(こいつは、何を知っているというの・・・?あたしの何を・・・)
タスキが、指を鳴らしかたと思うと、自分の体は、ホトホリの腕の中からタスキの腕の中へと移っていた
「ヌリコ、借りとくで。少し、頭冷やせや」
そして、タスキはヌリコと共に消えた
「っく・・・うっ・・・ひっく・・・」
「だぁぁぁぁぁ!!!もう、泣くなぁ!!俺のマントが濡れよるやろがぁ!!!」
二人は、洞窟まで戻っていた
タスキのマントを引っつかんで、ずっと泣くヌリコ
さっきとは打って変わったタスキの態度
半分、照れ隠しも入っていたが
「だってっ・・・もう・・・あんたは・・・あたしの言いたいこと・・・全部言っちゃってぇ・・・」
「せやかて、あのままやと、お前、場に流されてたやろ」
否定できない
それでも、タスキに全てを語って貰ってどこか安心しているのだ
そんなヌリコの頭を不器用に撫でるタスキ
「たく・・・お前は。目放すと、どうなるか分からん。俺が、決死の覚悟で外の世界に飛びだして来たんやで?人間に見つかってたら、どうなってたか・・・」
「何で・・・そんな事、してくれたのよ・・・?」
「何で・・・って・・・、何で・・・やろな」
まさかタスキに助けられるとは思っていなかったヌリコは、素直に疑問に思うのだ
タスキは、気持ちが上手く言葉に出来ない
「けど・・・ありがと・・・。今回は・・・、あんたに助けられたわ」
「・・・・・・・・・」
「もう・・・お菓子期間は・・・終わりよね・・・?もう、ここには来ないから。本当ありがとう」
「・・・・・・・待て」
「え・・・?」
「いつでもえぇ・・・来い」
「でも・・・」
「お前程度の話し相手でも、いてもろた方が・・・えぇねん」
「タスキ・・・」
今は心を開きかけているこの吸血鬼に、ヌリコももっと会いたかったのだ
「素直に・・・寂しいって言いなさいよ!!」
「じゃっかあしわ!!この魔女!!」
次の瞬間、二人はまた口喧嘩を出来る活気が・・・自然と戻ってきていた
次の日
担任から渡された通知
進級試験なしで、進級をパスした証拠の証書だった
「・・・・・・・」
「どうしちゃったの・・・?ヌリコ」
隣で、それを見ていたホウキも疑問に思った
(きっと、あの後・・・ホトホリ先生が)
「失礼します」
再び、職員室の扉を開ける
「ホトホリ先生・・・」
主任の席に、ヌリコは向かう
「あの・・・」
「良いボーイフレンドがいるんだな」
「え・・・?」
「男として、情けないよ」
「先生・・・」
ホトホリは、静かに立ち上がり、こちらを向いた
「進級、おめでとう。ヌリコ。そして・・・許してくれ」
「ホトホリ先生・・・」
次の瞬間、ヌリコは笑顔を作った
「いいんです。先生・・・ありがとうございました!!」
そう言って、頭を下げる
「大切にしなさい。素敵な彼氏を・・・」
ホトホリは、そう言ってヌリコの肩に手を置く
「・・・・・・・・・・・???」
次の瞬間、ヌリコは疑問に気づく
「彼氏じゃないですっっっ!!!!!!!!!!!」
「へっくしょい!!!!」
吸血鬼は、棺桶の中でくしゃみをする
「風邪か・・・???」
まだまだ、あんたに付き合わなきゃいけないみたいね