Trick or Treat?
『タスキ・・・。何故、何故裏切った・・・?許さない・・・。許さない・・・』
朝から妙にまとわりつく不気味な感覚をタスキは振り払った
あいつがいる
そう自分に言い聞かせながら
「ホウキ・・・、ホトホリ先生には告白したの?」
いきなりのヌリコの質問にホウキは度肝を抜かれた
「どっ、如何して!?」
「否、したのかなぁって思って」
ヌリコはあっさりと言うと昼食のパンをまた一口齧った
「・・・したわ・・・」
「本当に!?」
そこで飲みかけたコーヒーを机に勢いよく叩きつける
「昨日の放課後に・・・」
「如何だったの!?」
「・・・OKって・・・」
そこでヌリコはほっとした
「よかったじゃない・・・!」
「でも・・、信じられないの・・・。あんな素敵なお方の目に留まる程私は良い女なのかしらって・・・」
「そうよ。決まってるじゃない・・・。自分に自信持ちなさい・・・。あぁ、本当に良かった・・・」
ヌリコも落ち着いてコーヒーを飲み始めた
「ヌリコは?吸血鬼さんに告白したの?」
「ぶほっ!!」
急に噎せ込んだヌリコの背中をホウキが慌てて摩る
「してないのね・・・。その様子だと・・・」
ホウキの勘は鋭い
「へへへ・・・、まぁね・・・」
「駄目よ、ヌリコ!私だって勇気出したんだから次は貴女の番よ!」
ちょっと威張って言うホウキ
「はい・・・」
上の空の返事
『あんたの事が好きやったんやないか?』
昨日コウジの口から出た言葉
(本当に、本当にそうだったら嬉しいんだけどな)
コウジが言ったんだから、真実かどうかは分からない
それだけが引っかかっていた
「タスキ?」
嫌にしんとした教会に入る
そこには怖い表情のタスキがいた
「タスキってば!!」
「どわっ!アホ!びっくりさせんなや!」
「如何したの・・・?怖い顔しちゃって・・・」
その言葉に彼は反応した
「・・・ヌリコ。今日は帰れ・・・」
「え?」
「おるんや・・・。この近くに危ない奴が・・・」
「危ない・・・、奴・・・?」
その瞬間景色が歪んだ
途端にタスキがヌリコを自分の胸の中にマントで隠した
「ええっ・・・!?」
「・・・遅かったか・・・!」
その景色の向こう側に鎌を持った番人が現れた
その姿を見てヌリコは凍りついた
あの忌まわしい記憶
十年前、自分の両親を殺したあの・・・
「タスキ・・・!何故裏切る・・・!?この私を・・・!」
「フィアナ・・・!」
「私はお前に力を与え続けてきた筈だ・・・。何時までも女の血で永遠に生きながらえる身体を与えたのだ・・・!なのに何故、人間の女と関わっただけで人間の心を持ち続ける・・・!?」
フィアナと呼ばれたその男の眉間に皺が寄って恐ろしい表情になる
「忘れたのか・・・!?五年前にお前が魔導帥にして最大の過ちを犯してしまい、それがきっかけで吸血鬼への道を辿っていった事を・・・!」
ヌリコがタスキを見上げた
タスキは唇を噛んでいる
「その女がお前の根源か・・・?ならばその根源の首を我が根こそぎ切り落としてやるぞ・・・」
恐怖が走った
その瞬間タスキに強く抱きしめられた
「じゃかあしい!!黙って消えぇ!!この女はお前の様な奴に殺させやせん!!絶対に!!あの時の様な真似は二度とせぇへん!!」
(あの時の・・・?)
「・・・フッ。そうか・・・。でわ彼女諸共消滅する始末だ!!」
フィアナが鎌を振り上げた
その刃先に雷が集中した
多分次の瞬間振り下ろしてぶつけるのだろう
ヌリコは身を竦めた
その頭を懸命に撫でたタスキは
「大丈夫や。必ず・・・、助かる・・・」
と呟いた
助かる・・・?
次の瞬間
フィアナの振り下ろした雷撃とタスキの放った魔弾が、激突した
パラパラ・・・
「ぐっ・・・!」
吹き飛ばされたのはフィアナの方だった
「タスキ・・・!まさか・・・、もう・・・!?」
フィアナは唖然としていたが舌打ちをすると教会を後にした
「タ・・・ス・・・キ・・・」
途切れ途切れに名前を呼ぶ
タスキはため息をつくとヌリコに向き直った
「すまんな・・・。今まで隠してて・・・」
「・・・・」
「全部話すから聞いてくれへんか・・・?」
彼の今まで以上に真剣な瞳にヌリコは黙って頷いた
朝から妙にまとわりつく不気味な感覚をタスキは振り払った
あいつがいる
そう自分に言い聞かせながら
「ホウキ・・・、ホトホリ先生には告白したの?」
いきなりのヌリコの質問にホウキは度肝を抜かれた
「どっ、如何して!?」
「否、したのかなぁって思って」
ヌリコはあっさりと言うと昼食のパンをまた一口齧った
「・・・したわ・・・」
「本当に!?」
そこで飲みかけたコーヒーを机に勢いよく叩きつける
「昨日の放課後に・・・」
「如何だったの!?」
「・・・OKって・・・」
そこでヌリコはほっとした
「よかったじゃない・・・!」
「でも・・、信じられないの・・・。あんな素敵なお方の目に留まる程私は良い女なのかしらって・・・」
「そうよ。決まってるじゃない・・・。自分に自信持ちなさい・・・。あぁ、本当に良かった・・・」
ヌリコも落ち着いてコーヒーを飲み始めた
「ヌリコは?吸血鬼さんに告白したの?」
「ぶほっ!!」
急に噎せ込んだヌリコの背中をホウキが慌てて摩る
「してないのね・・・。その様子だと・・・」
ホウキの勘は鋭い
「へへへ・・・、まぁね・・・」
「駄目よ、ヌリコ!私だって勇気出したんだから次は貴女の番よ!」
ちょっと威張って言うホウキ
「はい・・・」
上の空の返事
『あんたの事が好きやったんやないか?』
昨日コウジの口から出た言葉
(本当に、本当にそうだったら嬉しいんだけどな)
コウジが言ったんだから、真実かどうかは分からない
それだけが引っかかっていた
「タスキ?」
嫌にしんとした教会に入る
そこには怖い表情のタスキがいた
「タスキってば!!」
「どわっ!アホ!びっくりさせんなや!」
「如何したの・・・?怖い顔しちゃって・・・」
その言葉に彼は反応した
「・・・ヌリコ。今日は帰れ・・・」
「え?」
「おるんや・・・。この近くに危ない奴が・・・」
「危ない・・・、奴・・・?」
その瞬間景色が歪んだ
途端にタスキがヌリコを自分の胸の中にマントで隠した
「ええっ・・・!?」
「・・・遅かったか・・・!」
その景色の向こう側に鎌を持った番人が現れた
その姿を見てヌリコは凍りついた
あの忌まわしい記憶
十年前、自分の両親を殺したあの・・・
「タスキ・・・!何故裏切る・・・!?この私を・・・!」
「フィアナ・・・!」
「私はお前に力を与え続けてきた筈だ・・・。何時までも女の血で永遠に生きながらえる身体を与えたのだ・・・!なのに何故、人間の女と関わっただけで人間の心を持ち続ける・・・!?」
フィアナと呼ばれたその男の眉間に皺が寄って恐ろしい表情になる
「忘れたのか・・・!?五年前にお前が魔導帥にして最大の過ちを犯してしまい、それがきっかけで吸血鬼への道を辿っていった事を・・・!」
ヌリコがタスキを見上げた
タスキは唇を噛んでいる
「その女がお前の根源か・・・?ならばその根源の首を我が根こそぎ切り落としてやるぞ・・・」
恐怖が走った
その瞬間タスキに強く抱きしめられた
「じゃかあしい!!黙って消えぇ!!この女はお前の様な奴に殺させやせん!!絶対に!!あの時の様な真似は二度とせぇへん!!」
(あの時の・・・?)
「・・・フッ。そうか・・・。でわ彼女諸共消滅する始末だ!!」
フィアナが鎌を振り上げた
その刃先に雷が集中した
多分次の瞬間振り下ろしてぶつけるのだろう
ヌリコは身を竦めた
その頭を懸命に撫でたタスキは
「大丈夫や。必ず・・・、助かる・・・」
と呟いた
助かる・・・?
次の瞬間
フィアナの振り下ろした雷撃とタスキの放った魔弾が、激突した
パラパラ・・・
「ぐっ・・・!」
吹き飛ばされたのはフィアナの方だった
「タスキ・・・!まさか・・・、もう・・・!?」
フィアナは唖然としていたが舌打ちをすると教会を後にした
「タ・・・ス・・・キ・・・」
途切れ途切れに名前を呼ぶ
タスキはため息をつくとヌリコに向き直った
「すまんな・・・。今まで隠してて・・・」
「・・・・」
「全部話すから聞いてくれへんか・・・?」
彼の今まで以上に真剣な瞳にヌリコは黙って頷いた