TEACHER×STUDENT
マンションのベランダから見渡せる朱雀街
そのベランダから煙草を吸いながら景色を眺める翼宿
今日一日終わるとまたこうして煙草を吸いながら景色を眺める
まだ顔が痛いが、あいつの泣き顔を見たが、今日も一日が終わろうとしている
でも何だか胸騒ぎがして、集中出来ない
あいつの身に何かが起こっている
そんな気がしたのだ
心配になったので携帯電話を取り出した
あいつの番号、プッシュしてみた
袋がやけにガサガサ言う
それもその筈
暴れる柳宿を必死に押さえつけている聡史が居るからだ
「大人しく言う事聞け言うとるんや!!」
聡史は中々柳宿に触れずに苛立っていた
制服は破いたが、彼女が両手で聡史の手を拒み続けていたから触るに触れないのだ
「警察呼ぶわよ!!この強姦野郎!!」
恐怖でいっぱいの瞳を聡史にぶつける
カッとなった聡史は動かない柳宿の両足を蹴った
「うっ!!」
電流が走った様な痛み
抵抗出来なくなった
「大人しくしてれば痛い目遭わないで済んだのによ」
肩で息をする聡史がようやく静かになった柳宿の肌に手を触れようとした時だった
♪♪♪
放りっぱなしにしていた柳宿の携帯電話が鳴った
着信 「たすき」
その画面に二人が一気に吸い寄せられた
その微かな光に柳宿が手を伸ばした
隙をついて聡史が携帯電話の電源を切った
「間が悪いな」
もう手段が無かった
「残念だな」
聡史は柳宿の胸に顔を埋めた
「・・・タスキ・・・」
そう呟いたが最後
柳宿の喘ぎ声が響いた
呼び出し音の後に乱暴に切られた音を耳にして、翼宿は不審に思った
柳宿を怒らせた覚えは無い
泣かせた覚えは有るが
これは彼女に危険が迫っているという象徴
勉強より生徒の心についての方が分かっていた翼宿は、一瞬でそれを悟った
そして彼女の身に降りかかっている危険の正体も大体予想がつく
獄城聡史
しかし一体彼女は何処へ?
あの後無事家まで送り届けた筈だが
あれこれ考えるよりも行動した方が先決だと判断した彼は、今日は週末で渋滞だという事を頭に入れ、スポーツシューズの紐をぎゅっと締めて駆け出した
「やめて・・・」
息切れしながら柳宿は声を振り絞って呟いた
足の痛みと溜まった疲労で体が動かない
伸ばしていた爪で彼の肌に傷をつけた
「ちっ・・・!!」
ビリッとした痛みに聡史は苛立ち柳宿の頬を叩いた
「今更抵抗しても遅いわ」
聡史が顔を上げた
「俺だってお前みたいな綺麗な女見た事が無かったんや。色々な女と寝てみたがお前みたいな女には初めて会ったさかい。これが俺の初恋なんや・・・」
そんな話誰が信じるものか
その初恋のせいであたしは、初めて寝たあんたに人生をボロボロにされたんだから
「だから今度こそ・・・なぁ?結婚しようや?柳宿・・・」
涙が零れ落ちた
「誰が・・・」
声にならない声で呟いた
「だから・・・大人しく・・・なぁ?」
急に優しい声になって気味が悪い
腿に手を入れられた
もう、駄目だ
「すみません!この辺を車椅子で通った女子高生を見ませんでしたか!?」
「見なかったねぇ」
その現場からほんの数十メートルしか離れていない路地に翼宿は居た
そこは翼宿が昨日訪れたクラブが有る路地だった
聡史に会いに行ったのだと思い翼宿はその足で此処まで辿り着いた
「柳宿・・・」
辺りを見渡した
その時
「俺等見たぜ?」
「!!」
振り向いたそこには今時といった感じの風俗の男が二人立っていた
「ホンマか!?何処で見たんや!?」
「何処でも何も。聡史の元カノだろ?俺等聡史の連れでよ。あいつ朱雀港の第三倉庫に行ったぜ。そこに元カノが入ったのも見た」
「お前等・・・何で・・・」
「俺等も実はあいつの性格が気に入らなくてよ。無理して付き合ってたんだよ。今頃元カノもどうなってるのか考えると怖ぇよ」
「・・・!!」
悪寒がした
「・・・すまん!おおきに!!」
朱雀港への曲がり角を目指して翼宿は駆け出した
「・・・あいつが今度の元カノの彼氏か?」
「らしいな。何か男気有る奴じゃん」
「そうだな。俺等が見た時の元カノは何か寂しそうな感じしたけどあいつとならやってけるかもな」
「あぁ。間に合うと良いな」
そんな翼宿の勇敢な後姿を見ながら二人は話し込んでいた
柳宿の腿にすがりつく聡史
もはや抵抗の余地が無かった柳宿はじっと耐えていた
もうすぐ全てが奪われる
地獄へ落とされる
そんな恐怖に耐えながら
「観念したか?」
下からそんな声が聞こえた
「俺と出会えて正解や。財産もたんまり有るしお前一生幸せに暮らせるんやで?」
金 地位 名誉
そんな事しか頭に無いのか
この男も
何も柳宿は答えなかった
「結婚式には俺と寝た女が何人来るか楽しみやな。俺結構人気者やから」
あれこれ人生プランを喋っている聡史の声すらもう届いていなかった
「まぁそんな事はこの後でもえぇか」
ようやく自分の馬鹿さ加減に気づいた聡史が、自分の服を脱ぎ始めた
その時だった
ブゥーン
パトカーのサイレンが聞こえた
聡史の動きが止まった
柳宿がゆっくりと目を開けた
ガラララララ
重い漆黒の扉が開かれた
警察官が二人
そして真ん中には
「柳宿が世話になったな。聡史」
大好きな大好きな
白衣の騎士
そのベランダから煙草を吸いながら景色を眺める翼宿
今日一日終わるとまたこうして煙草を吸いながら景色を眺める
まだ顔が痛いが、あいつの泣き顔を見たが、今日も一日が終わろうとしている
でも何だか胸騒ぎがして、集中出来ない
あいつの身に何かが起こっている
そんな気がしたのだ
心配になったので携帯電話を取り出した
あいつの番号、プッシュしてみた
袋がやけにガサガサ言う
それもその筈
暴れる柳宿を必死に押さえつけている聡史が居るからだ
「大人しく言う事聞け言うとるんや!!」
聡史は中々柳宿に触れずに苛立っていた
制服は破いたが、彼女が両手で聡史の手を拒み続けていたから触るに触れないのだ
「警察呼ぶわよ!!この強姦野郎!!」
恐怖でいっぱいの瞳を聡史にぶつける
カッとなった聡史は動かない柳宿の両足を蹴った
「うっ!!」
電流が走った様な痛み
抵抗出来なくなった
「大人しくしてれば痛い目遭わないで済んだのによ」
肩で息をする聡史がようやく静かになった柳宿の肌に手を触れようとした時だった
♪♪♪
放りっぱなしにしていた柳宿の携帯電話が鳴った
着信 「たすき」
その画面に二人が一気に吸い寄せられた
その微かな光に柳宿が手を伸ばした
隙をついて聡史が携帯電話の電源を切った
「間が悪いな」
もう手段が無かった
「残念だな」
聡史は柳宿の胸に顔を埋めた
「・・・タスキ・・・」
そう呟いたが最後
柳宿の喘ぎ声が響いた
呼び出し音の後に乱暴に切られた音を耳にして、翼宿は不審に思った
柳宿を怒らせた覚えは無い
泣かせた覚えは有るが
これは彼女に危険が迫っているという象徴
勉強より生徒の心についての方が分かっていた翼宿は、一瞬でそれを悟った
そして彼女の身に降りかかっている危険の正体も大体予想がつく
獄城聡史
しかし一体彼女は何処へ?
あの後無事家まで送り届けた筈だが
あれこれ考えるよりも行動した方が先決だと判断した彼は、今日は週末で渋滞だという事を頭に入れ、スポーツシューズの紐をぎゅっと締めて駆け出した
「やめて・・・」
息切れしながら柳宿は声を振り絞って呟いた
足の痛みと溜まった疲労で体が動かない
伸ばしていた爪で彼の肌に傷をつけた
「ちっ・・・!!」
ビリッとした痛みに聡史は苛立ち柳宿の頬を叩いた
「今更抵抗しても遅いわ」
聡史が顔を上げた
「俺だってお前みたいな綺麗な女見た事が無かったんや。色々な女と寝てみたがお前みたいな女には初めて会ったさかい。これが俺の初恋なんや・・・」
そんな話誰が信じるものか
その初恋のせいであたしは、初めて寝たあんたに人生をボロボロにされたんだから
「だから今度こそ・・・なぁ?結婚しようや?柳宿・・・」
涙が零れ落ちた
「誰が・・・」
声にならない声で呟いた
「だから・・・大人しく・・・なぁ?」
急に優しい声になって気味が悪い
腿に手を入れられた
もう、駄目だ
「すみません!この辺を車椅子で通った女子高生を見ませんでしたか!?」
「見なかったねぇ」
その現場からほんの数十メートルしか離れていない路地に翼宿は居た
そこは翼宿が昨日訪れたクラブが有る路地だった
聡史に会いに行ったのだと思い翼宿はその足で此処まで辿り着いた
「柳宿・・・」
辺りを見渡した
その時
「俺等見たぜ?」
「!!」
振り向いたそこには今時といった感じの風俗の男が二人立っていた
「ホンマか!?何処で見たんや!?」
「何処でも何も。聡史の元カノだろ?俺等聡史の連れでよ。あいつ朱雀港の第三倉庫に行ったぜ。そこに元カノが入ったのも見た」
「お前等・・・何で・・・」
「俺等も実はあいつの性格が気に入らなくてよ。無理して付き合ってたんだよ。今頃元カノもどうなってるのか考えると怖ぇよ」
「・・・!!」
悪寒がした
「・・・すまん!おおきに!!」
朱雀港への曲がり角を目指して翼宿は駆け出した
「・・・あいつが今度の元カノの彼氏か?」
「らしいな。何か男気有る奴じゃん」
「そうだな。俺等が見た時の元カノは何か寂しそうな感じしたけどあいつとならやってけるかもな」
「あぁ。間に合うと良いな」
そんな翼宿の勇敢な後姿を見ながら二人は話し込んでいた
柳宿の腿にすがりつく聡史
もはや抵抗の余地が無かった柳宿はじっと耐えていた
もうすぐ全てが奪われる
地獄へ落とされる
そんな恐怖に耐えながら
「観念したか?」
下からそんな声が聞こえた
「俺と出会えて正解や。財産もたんまり有るしお前一生幸せに暮らせるんやで?」
金 地位 名誉
そんな事しか頭に無いのか
この男も
何も柳宿は答えなかった
「結婚式には俺と寝た女が何人来るか楽しみやな。俺結構人気者やから」
あれこれ人生プランを喋っている聡史の声すらもう届いていなかった
「まぁそんな事はこの後でもえぇか」
ようやく自分の馬鹿さ加減に気づいた聡史が、自分の服を脱ぎ始めた
その時だった
ブゥーン
パトカーのサイレンが聞こえた
聡史の動きが止まった
柳宿がゆっくりと目を開けた
ガラララララ
重い漆黒の扉が開かれた
警察官が二人
そして真ん中には
「柳宿が世話になったな。聡史」
大好きな大好きな
白衣の騎士