TEACHER×STUDENT

学校が嫌いです
やっと受験して手に入れた高校生活
それも一年経ったら、全てが水の泡
成績は学年トップだったのに
少し酒飲んで煙草吸って、暴走族とつるんだだけで
『退学』
学校が大嫌いでした

それを教員採用試験の面接で喋ったら、一発合格
何となく受けた試験だったので、腑に落ちない点もあったが、とりあえず自分も就職の波に乗れたのだ

この時はまだ知らなかった
教員生活の始まりを迎える高校で、あんな衝撃的な女子生徒と出会う事になるとは・・・


「・・・という訳でこれから宜しくお願いします!!」
今日も各地の高校から転任してきた教師の着任式が入学式の後に有った
大体転任してくる教師といったら、五月蝿い叔母さんか気味悪い親父しか居ないのだ
そんな中でそんなに生徒と歳が変わらない橙色の頭をした教師が此処朱雀学園に着任してきたのだ
その教師の名は、翼宿
もちろん女子生徒はざわざわざわめき出した
「ちょっと!柳宿!あの先コーかっこよくない!?」
「そう?・・・別に如何でも良いんじゃない?先コーくらい・・・」
「あんたね、そんな冷血人間辞めていい加減彼氏でも作れば?この前もさ、C組の内山が猛烈なアタックかけてたじゃない?」
「辞めてよ・・・。誰が好き好んで彼氏なんか・・・」
その女子生徒の中で只一人、何の興味も持たない生徒が一人
その名は柳宿
三学年では一番と言って良いほどの冷血少女
顔だけは良いので男子には評判である
誰もが彼女が誰にも見せない素顔を見たがっているのだ
「あんたさ、一人くらい信頼出来て何でも話せる人作った方が良いよ。余計なストレス溜まっちゃうわよ?もうすぐ受験なんだしさ・・・」
「別に将来にやりたい事も無いしそんな人も必要無いわよ・・・」
それがあたしの生き方
誰にも口出しされたくない
誰とも関わらない

ガタッバサバサ
放課後廊下を歩いていた柳宿に翼宿がぶつかった
「・・・すまん!大丈夫か?」
「・・・いえ。別に」
彼は理科の先生なのか、白衣を着てダンボールに入った教材を運んでいた
落とした教材をダンボールにしまう
「お。あんた三年生か?・・・ちょっとスカートの丈が短すぎやないか?」
「・・・何処見てんのよ。変態教師」
初めての挨拶にそれかよと翼宿は少しむっと来たが
「・・・えぇか?科学には色々な理屈があってな、そういう非常識な人間がクローンの人体実験に使われる事にもなるんやで?」
と、いきなり語りだした
すると少し彼女の表情が変わった
「・・・あんた、関西弁なの?」
「ん?あぁ・・・」
「・・・へぇ。大阪の人間がこんなド田舎に転任してくるなんて珍しいわね・・・」
「まぁな!俺、都会より田舎の方が好きなんや!」
「あっ、そ・・・」
そのまま柳宿はそれ以外は興味も示さず廊下の向こう側へ歩いていった
その後姿を翼宿は珍しそうに見つめていた

三時間目 理科
入学早々、時間割に示された教科
「ねぇねぇ!柳宿!あの先コーあたしらの理科の教師だってよ!超ラッキーじゃ~んv」
「知ってるわよ・・・」
「え?何で知ってるのよ?まさかあんた興味無いとか言ってる癖に密かにスパイとかやってたんじゃないの?」
「誰があんな変態教師なんか・・・」
「変態・・・?」
「あんたの期待は意外と外れるかもよ?」
そう呟くと柳宿は一時間目の授業の用意をし始めた

「よ!もう俺の事知っとる奴おると思うけど今日から一年間宜しくな~v」
その一言に女子生徒は一斉に返事をした
只一人柳宿を覗いては・・・
一人頬杖をついて窓の外を見ている
昨日会った少女だとすぐに判った
翼宿は座席名簿を素早く調べた
29番 柳宿
「柳宿」は実験にもほとんど参加はしていなかった

リーンゴーンリーンゴーン
「じゃ、先生!今度携帯番号教えてねv」
「おう!任しとけ!!」
数十人の生徒が翼宿にそう言って理科室を出て行った
それに続いて柳宿も静かに出て行こうとした
「29番 柳宿はん?」
その言葉に柳宿はぴたりと制止して振り向いた
「・・・勝手に人の名前調べないでよね・・・」
「どないしたん?今日の授業、参加してなかったやないか・・・」
「別に・・・。つまんなかったから・・・」
ふいと視線をそらした
「・・・人生、つまんないんか?」
「そうね・・・、面白くも何とも無いわ・・・」
「おし!決めた!」
翼宿がいきなり手を打った
「・・・何よ?」
少しおどけた表情を見せた

「俺、お前の正体を突き止めてやるで!」

「はぁ?」
「お前は俺と気が合いすぎる!興味湧いてきたんや!」
「何言ってるのかさっぱり・・・」
柳宿がいい加減廊下に出ようとした所
後ろから
「柳宿!見とけ!お前を笑わせたるからな!」
と、声をかけられた

衝撃的な女子生徒
柳宿
自分の衝撃的な教師生活を送る原因になる・・・
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