ENDLESS STORY

「・・・?」
「どないした?美朱・・・」
「ううん・・・誰かに呼ばれた気がして・・・」
「もしかしてたまやないか?ほれ。前の時も声が聞こえた言うてたやないか・・・」
「ううん・・・そんなはっきりじゃないの・・・それに今は聞こえないし・・・」
「せやったら空耳やな」
翼宿はあっさり開き直った
「・・・都まで後どのくらい?」
「せやなぁ。山から都は結構遠いんや・・・せやから後30分後くらいやろか・・・」
「早く行かなきゃ・・・嫌な予感がする・・・」
「何っ!?まさか柳宿が・・・」
「んもうっ!!翼宿!!そんなに気になるなら気になるって素直に言えばいいのにっ」
「ばっなっ何言うてんねん!!大体あいつに限って敵に襲われる事あらへんやん!!あんの怪力阿呆が・・・」
「はいはい」
しかし翼宿が馬を走らせる速さが微妙に速まったのを美朱は見逃さなかった


「光!!こっちこっち~~~」
呉服問屋から少し離れたお花畑に二人はいた
「綺麗でしょぉ~?あたしも見つけた時びっくりしちゃった!!こんな大都会にも自然はあるんだねぇv」
「う・・・うん・・・」
強引に連れて来られてしまった光は動揺を隠せなかった
「な~に?まさかあたしの事好きになった!?」
「何言ってるんだよ!!そんなんじゃ・・・ないよ」
玲春はからかう様にくすくすと笑った
「でも駄目よ!!あたしにはずっと憧れてる子がいるんだから!!」
「憧れてる子・・・?」
「そっ!!隣町に住んでる永安って子なんだけどすっごく綺麗なの!!このあたしと比べ物にならないくらい!!」
その言葉に光はため息をついた
「・・・でもね。永安。何も言わずに先日引越しちゃったんだ・・・」
「え?」
「何も言わずにだよ?玲春の事嫌いになっちゃったのかなぁ・・・?」
「そっそんな事ないよ!!きっとその子にも事情があったんだよ!!もうすぐ手紙が来るんじゃないかな・・・」
「本当にそう思う・・・?」
「うん!!」
悲しそうに歪んだ顔が途端ぱっと明るくなった
「ありがと!!光って優しいんだね!!あたしのお婿さん候補に入れてあげたいくらい☆」
いきなり抱きついてきた玲春に光は慌てふためいた
光はまだその「永安」が朱雀七星士の一人「星宿」だとはまだ知る由もなかった
そして「柳宿」が「星宿」を愛していた事も・・・

「あれが・・・朱雀七星士の一人の生まれ変わりなのか・・・?」
「あぁ。間違いない・・・柳宿という人物だ・・・」
「柳宿・・・女性の様に美しいと有名だったあのオカマか・・・?」
「お前そういうの好きそうだもんな」
「あぁ・・・少し痛めつけてから殺すのも悪くないな・・・」
茂みの中から二人の黒い布を被った男性が薄気味悪い笑みを浮かべていた

「光!!もっとあっち行ってみようよ!!花見月っていう珍しいお花があるんだよ!!」
大分元気になった玲春が光の手を引いた
「まっ待ってよ玲春!!」
最初は戸惑っていた光だったが時間が経つに連れて段々その雰囲気に慣れてきた
可愛いガールフレンドが出来たそんな気持ちに駆られた瞬間だった
ガツッ
突然後頭部に激しい痛みを覚えた
そのまま光は倒れた
「光!?」
玲春が悲鳴をあげた
見上げると二人の黒い布を被った男が立っていた
「な・・・何・・・あんた達・・・」
「せっかくのボーイフレンドとのデート中誠に申し訳ない・・・私達は君のご先祖様を始末しに来たんだよ・・・」
「何の事・・・」
「とぼけんじゃねぇよ!!お前に憑いてる「柳宿」って幽霊の事だよ!!」
玲春の鼓動が激しく高鳴った
「玲春・・・逃げるんだ・・・」
光は意識は失っていなかった
その光の頭をもう一人の男が足で踏み潰した
「やめて!!」
「柳宿さんさっさと出てきたらどうだぁ!?こんな小さい子どもを巻き込みたくねぇだろぉ!?俺ら死体始末すんの大変なんだよぉ!!」
玲春の体の回りが赤い炎でいっぱいになった
男は顔を見合わせてにやりと笑った
「玲春・・・!!」
光がうめいた時玲春と重なって一人の女性・・・否男性が浮かび上がった
それはいつしか玲春から離れゆっくりと地上に降りた
「ちょっとあんた達!!どういうつもり!?その子を離しなさい!!」
「やっと出てきたな」
足蹴にしていた男は光をそのまま蹴り倒した
ごろごろと坂道を下っていった光を柳宿は受け止めた
「大丈夫!?酷い怪我・・・」
半透明のその体を見て光は呆気にとられたが、武器らしき腕輪で辛うじて自分の体は受け止められていた
「こんな事に巻き込んでごめんね・・・こんな奴らすぐに片付けるから・・・」
そこで光は言葉を発しようとした
「貴方は狙われているんです」と
しかしそこで柳宿は自分を茂みの中へと押しやった
「ここに隠れてなさい!!」
光は身動きがとれなかった
「威勢のいい奴じゃねぇか」
「綺麗な顔して強気なんだなぁ」
二人の男性はじりじりと柳宿に寄ってくる
そこで柳宿は構えのポーズをとった
「お生憎様!!朱雀の柳宿様をご存知ないの?あんた達みたいな屑あたしにかかればちょちょいのちょいよ!!」
「貴様こそ我々を只の悪党と勘違いして貰っては困る!!」
「だったら何なのよ!!」
一人の男の瞳がどす黒く光った
その彼と目が合った柳宿はその場に崩れ落ちた
「なっ・・・何・・・!?」
「今貴様の全身に電磁波を送り込んだ・・・暫くはろくに動けんだろう・・・」
光は会話の内容が聞き取れなかったが柳宿の様子が明らかに可笑しい事に気づいた
「・・・何言ってるの・・・馬鹿ね・・・あたしを殺そうにもあたしはもう死んじゃってて・・・あんた達は触れられもしないのよ・・・?」
二人の男性は薄笑いをしながらゆっくり歩み寄った
そして柳宿の腕をぐいと引いた
「えっ・・・!?」
「残念だったな・・・我々は魔神の手下なのだ・・・魔神は霊よりも立場が上だ・・・」
一人の男が柳宿を押し倒した
「我々に逆らえる者はいないのだ・・・」
男の唇が柳宿の唇に重なった
「!!!」
光もあっと声をあげた
もう一人の男が横から囁いた
「悪いな。こいつ完全なオカママニアなんだ。あんたはすぐに殺せるがその前に一遊びしておこうと思ってな」
柳宿は全身が麻痺していて抵抗出来ない
服が破られた
「坊主には惨い光景だが大人のお勉強一足先取りってとこだな」
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