ENDLESS STORY

「魏・・・!!!」
「貴様は・・・鬼宿か・・・?」
魏は、構えのポーズを取った
「よぉ。待たせたな・・・豪焔。みんなをこんな目に遭わせて・・・ただじゃ済まねぇぜ」
「ふ・・・お前の世界も征服しに行こうと思ったが・・・手間が省けたな」
ドォォッ
「魏!!」
魏の体にも、蜘蛛の糸が迫る
しかし
バァンッ
はじき返された
「な・・・!?」
「・・・満さん・・・?」
満の結界のお陰だった
「ありがとう・・・。必ず・・・こいつを倒すよ」
魏の額には・・・鬼の文字
「鬼宿・・・なぜ・・・!!」
「みんな!!俺に力をくれ!!今なら・・・こいつを倒せる!!」
「魏・・・!!!」
「皆・・・出来る限りの力を・・・魏に与えるのだ!!」
「でも・・・翼宿が!!」
「翼宿!!目覚ませ!!てめぇ、何があっても死なない性分だったじゃねえか!!」
魏は、叫ぶ
すると
翼宿の背中から、鉄扇が浮かび上がった
「え・・・?」
「あれは・・・」
そのまま、魏の手に渡る

[人を死に損ないみたいに言うなや、ボケェ!!]

魏の頭の中に聞こえてくるのは、翼宿の声
「翼宿・・・」
[お前には・・・助けてもらったからな。お返しや。今、肉体は瀕死の状態やけど・・・「こいつ」使えや]
「ありがとう・・・」
[一緒に・・・呪文唱えろ]
ゆっくりと、鉄扇を掲げる
鉄扇が赤く光る
「何・・・!!!」
[くらえやぁ!!!]

「[烈火神焔!!!!!!!!!]」

渦を巻いて、火が豪焔に向かって走る
「ぐあああああああああ!!!!」
一瞬にして・・・全てが灰と化した
瞬間、赤い光が周りを包み込んだ


「ん・・・」
皆が、目を覚ます
そこは・・・見覚えのある景色
「ここは・・・太極山・・・?」
「よくぞ、戻ってきたな。朱雀七星」
「太一君・・・!!!!」
「長い・・・戦いだったが・・・ようやく全てが終わった」
嵐の地と化していた太極山も、今はすっかり彩りを取り戻している
そして・・・光と翼宿が浮かんでいた
「光!!」
「翼宿!!!」
「安心せぇ。死んどらん・・・ったく・・・今回は、無理しおって・・・」
周りを娘娘が取り囲み、二人の傷はすっかり消えている
「魏。最後の最後に・・・よくぞ、仲間を助けたな」
「そうだよ・・・魏。どうして・・・?」
「唯達と協力して、こっちへ飛べるようにして貰ったんだ。何とか・・・間に合ってよかったよ」
「ごめんなさい・・・光が人質に取られて・・・あたし、母親として何やってるんだか・・・」
「よかったよ・・・お前と光が無事で」
「とりあえず、今回の件に関しては・・・光の記憶を消そうと考えておる」
その言葉に、一行は押し黙った
「この物語の存在は・・・外界の人間には知られてはならぬ。美朱と鬼宿、二人がどうやって知り合ったのかを光は・・・知ってはならないのだ」
「そうか・・・しょうがないな」
「そうだね・・・」
美朱と魏は、了解した
「そして、雪もあるべき場所へと先に帰した」
「え・・・?」


「雪ちゃん!!雪ちゃん!!」
雪が目を覚ますと、そこは候家の寝台の上だった
「おばさん・・・お姉さん・・・?」
「ああ・・・無事だったんだね・・・そこの畑の上で倒れていたんだよ!!帰ってきてくれて・・・よかった・・・」
翼宿の母親は、我が子のように雪を抱きしめる
「帰って・・・来ちゃったんだ」


「そっか・・・これでいいのかもね・・・翼宿は、また会えるし」
柳宿は、安心したように微笑んだ
「これで・・・魔神の怨念の固まりも完全に消えた。もう何も・・・お前らが心配する必要はない」
「厄介だったのだ・・・。まさかここまで・・・魔神の復讐が執念深いものだったとは」
「だけど・・・皆が無事でよかったな」
「そうだ・・・。今回は、翼宿と魏のお陰だったがな」
「そうですね・・・結局、僕らは助けられてばかりです」
「・・・・・・・・・・・・」

「柳宿。何か思い残す事はあるか・・・?」

「・・・いいえ」
「分かっていると思うが・・・星宿。軫宿。張宿。そして柳宿は・・・今すぐ自分の体に戻らなければいけない」
「柳宿・・・」
「・・・良いのか?お別れをしなくて」
「・・・・・・・・・・・・えぇ。いいのよ。最後くらい・・・泣きたくないしね」
「もう少し・・・ここで休ませてから下界へ送り返すとする」
そう。戦いの終わりは・・・彼との別れを意味する
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