ENDLESS STORY

「あらあらぁv井宿はん!!よく来たねぇ!!」
翼宿の母親が暖かく出迎える
「いつも、俊宇の奴が世話になってます~v」
「いいえ。お互い様ですのだ」
狐面をニコニコさせながら、井宿は答えた
「今日は・・・朱雀の巫女の息子を・・・連れてきましたのだ」
「あらぁv可愛い坊やだことv」
愛瞳も、嬉しそうに出迎える
「宿南光です・・・。初めまして」
「やだわぁvそんな緊張しなくてえぇんよvゆっくりしてってね!!さvさv」
「光!?」
居間から、雪が飛びだしてきた
光は、途端に緊張した
「ゆ・・・雪ちゃん・・・。元気そうだね・・・」
「うん!!どうしたの!?今日は、井宿も一緒に!!」
「遊びに来たのだ。光がどうしても、雪ちゃんに会いたいと言って聞かないのだv」
「ちょ・・・ちょっと、井宿さん・・・」
「遊んでくるのだ、光。おいらは、おばさん達と世間話でもしてるのだ」
ポンと背中を押す
「行こうよ、光v凄く綺麗な小川があるお花畑教えてあげるv」
雪は、光の手を引く
光も、嬉しそうに微笑む
「ささ!!せっかく来たんですから、お茶でも飲んでってくださいなv」
翼宿の母親は、中を進めた
井宿は、背後に気配を感じたが・・・気にせず、中へと入った
その気配の主は・・・
大木の上で、その様子を伺っていた翼宿であった
「ここなら・・・井宿にも勘付かれへんやろ」
それは、大間違い。勘のいい井宿を騙せる筈などなかったのだ・・・


しばらく、沈黙が漂っている
待機組の美朱、星宿、柳宿は、向かい合っている軫宿と張宿を見守っていた
話を切り出す勇気が出るまで、誰も言葉を発さなかった
「・・・あの」
張宿は、遂に顔を上げた
「どうした?」
軫宿はいつも通りに聞いてくる
「あの・・・軫宿さん。この間は・・・すみませんでした。いつもいつも・・・僕の事を心配してくれてるのに・・・。僕も・・・本当は、軫宿さんに甘えたかったんです。でも・・・」
一呼吸置いた
「僕・・・・・・娘娘が話していたのを聞いちゃったんです・・・。僕の実の兄が・・・・・・・・・・・・軫宿さんだったって・・・」
星宿と美朱は驚いていた
「本当なの・・・?軫宿・・・」
「軫宿さん・・・なぜ、黙っていたのですか・・・?僕・・・僕、ショックでした。軫宿さんの優しさも・・・全て罪滅ぼしだったら・・・」
「それは、違う。張宿」
張宿は、言葉を止める
「・・・血が繋がっていようといなかろうと・・・俺は、仲間としてお前をとても大切に想っている。勿論、他の仲間もだ。しかし・・・・・・・・・・・・・お前の言う通りだ。俺は、お前の・・・腹違いの兄だ」
その場に沈黙
「だから、正直驚いた。お前の本名は、あの時連れてこられた赤ん坊とまったく同じだった。あの頃から・・・俺達が再会する運命が決まっていたんだな」
「軫宿さん・・・」
「黙っていた事は・・・・・・すまなかった」
「けど・・・僕・・・」
机の上の張宿の手に、大きな軫宿の手が重なる
「張宿。俺は、お前の死に行く姿を黙ってみている事しか出来なかった情けない兄だ。だから、俺を兄として慕えなんて誰も言わない。ただ、お前と俺は、誰にも変える事の出来ない絆で繋がっている事も確かだ。俺は、再びお前と出会えてよかったと思っている。お前の笑顔が見られて・・・こんな喜び、兄だからこそ感じられるんだ」
「軫宿さん・・・」
張宿の瞳から、涙が溢れた

「軫宿さん・・・・・・・僕・・・・・・・・・・・・軫宿さんがお兄さんで・・・・・・・・・・・きっと、嬉しかったんです・・・・・・・・・・・・」

それが、本当の気持ち


「豪焔様・・・」
「舞花か・・・ご苦労だったな」
豪焔は、魔鼎の地下の間で酒を飲んでいた
「豪焔様・・・私・・・」
「辛かろう。蛇蝋を亡くしたのだからな」
翼宿の力で燃やされた自分の最愛の人を亡くした舞花
今は、錯乱状態だった
そっと、豪焔の膝元に頭を寄せる
「豪焔様・・・私を助けてください・・・。あやつらを・・・翼宿を・・・絶対に倒してくださいませ・・・」
「ああ・・・。可愛いお前の恋人を奪った奴ら・・・生かしておく訳にはいかない」
月を見上げる
「後9日で・・・・・・・・・・・私は、誰にも負けない能力を手に入れる」
月の光を浴び・・・豪焔は強くなる
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