ENDLESS STORY

「!!!???」
バン
「ちょっと、軫宿!?」
突然、軫宿が何かを感じ取ったように宿を飛び出した
「・・・!!これは・・・」
「井宿・・・どうしたって言うの・・・?」
「まずいのだ!!張宿が・・・奴らに見つかったかもしれないのだ!!」
「えっ・・・!?」
「ひとまず、軫宿を追うのだ!!学礼の住んでいる村・・・そんなに離れていなかったと思うのだ!!」
「しかし・・・翼宿と柳宿は・・・」
「多分、彼らも七星なら何かしら気を感じて来ると思うのだ!!ひとまず、張宿の命最優先で・・・」
井宿は、錫杖を掲げると、呪文を唱え始めた


『まあ・・・連れ子がいただなんて・・・』
『奥様・・・10の男の子とまだ生まれたての赤ん坊を連れて来たらしいわよ』
『寿安も、さぞかし辛いでしょうね。せっかくの一人息子だったのに・・・』

俺がいなければ、あの二人はすくすく育って、何も知らずに幸せになれる・・・そう思ってた
「張宿・・・待ってろ・・・!!今、行くからな・・・!!」

あの朱雀廟で、再びお前と再会し・・・一発で分かった。あの時の連れ子・・・
だから、俺は七星士という名前を名乗りながら、お前との時間を楽しんだ
お前の・・・兄貴になれるように


おぎゃあおぎゃあおぎゃあ
「あ・・・あんたぁ・・・」
「何だ・・・あの烏の群は・・・」
バンッ
たくさんの烏が、窓に体当たりしてくる
学礼の家は、パニック状態だった
そして、その烏の群が散ったかと思うと、窓が凄い勢いで開いた
そこには
「張宿。七星探しに難航してるんだ。先にお前が消えてくれないかい?」
真っ赤な髪の毛を垂らした不気味な男
「だ・・・誰だ・・・お前は・・・!!!」
「我が名は・・・」
豪焔


馬が凄い勢いで、坂を下ってくる
その背に、翼宿と柳宿を乗せて
「柳宿・・・感じたやろ・・・?さっきの気・・・」
「えぇ・・・きっと、誰かにまた何かが・・・」
「しかも、凄い殺気だってるで・・・」
まるで、あの時のように
『わらわは、魔神の弟の豪焔(ゴウエン)だ・・・いつか、貴様と対戦してみたい・・・』
「あいつが・・・やっと現れたっちゅー訳やな・・・」


シュルルルルル
パシッ
豪焔の腕を何かが絡め取った
それは、赤い巻物
「張宿・・・か」
背後に、それはいた
「やめてください・・・。もうこれ以上・・・七星士を・・・関係のない人々を巻き込まないでください・・・」
「ふ・・・貴様に何が出来る?文字が消えればただの幼子。生まれ変わっても相変わらずそんな性質では、伝説の朱雀七星の名が恥じるぞ」
「うるさい!!僕は・・・僕は、字がなくたって・・・朱雀七星士だ・・・」
「また強がりを。あのオレンジ髪に言われた事など本気にするでない」

『お前は・・・むっちゃ強い男や。こんなえぇ男・・・見た事あらへん』

死に際にかけられた・・・憧れの翼宿からの言葉
そして

『一人では、寂しいだろう?傍に・・・いてやる』

大きくて優しかった、あの・・・
「軫宿・・・さん」
バシン
「うわああああ!!!」
隙をついて、巻物ごと弾き飛ばされた
「お前は今でも、この餓鬼と太極山の間を彷徨っているのだろう?何と優柔不断だ。きちんと望む姿に生まれ変わったのか?」
「うるさい・・・お前には・・・関係ない・・・」
「なら、ひとつ還る場所をなくしてやろうか?」
豪焔はそう言うと、掌を固まって小さくなっている家族に向けた
「やめて・・・」
ゴオオオオオオオ
激しい火が起こった
しかし
「何・・・」
そこには、大きくて優しい存在が学礼ら家族を火から庇う姿があった
「軫宿さん・・・」
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