ENDLESS STORY

「何よ、あんた!!さっきから幻狼の事気安く翼宿なんて!!」
「せやからぁ!!こいつは朱雀の巫女で俺は朱雀七星士の翼宿やったんや!!何回言ったら分かるんやこのドアホ!!」
「うわ~っ!!幻狼がいじめた~!!」
「ドアホはお前や!!何女泣かせてんねん!!」
美朱を屋敷に通した翼宿は、とりあえず美朱に茶はすすめたが
纏わりつく聖夏を宥めるのに精一杯で中々美朱と話す事が出来ない
そんな翼宿に功児の怒りの鉄拳が直撃した
「いったぁ!!せやかて功児!!この分からずや女どうにかしてくれや!!」
「はいはい聖夏~そろそろおやつの時間やからなぁ~あっち行って大人ししてよな~」
まるで餓鬼でもあやす様に功児は聖夏を引っ張り出した

「何やねんあいつは・・・」
「ねぇ、どうしたの?あの聖夏ちゃんって子・・・」
「あぁ。山の隅っこでボロボロの服で泣いとった所を俺が見つけてな。何や可愛そうやったいうか今匿っとるんや。多分前魏が来て似非朱雀が国の滅亡計った時に親から離れたんやろ。それが落ち着いたらあの有様や。もうちょい素直やったらなぁ・・・」
「・・・何だ。優しいんだね。翼宿。てっきり本物の彼女かと思っちゃったよ」
「ばっ・・・!!んなっ・・・!!これはやなぁ!!国を救った朱雀七星士の正義感いうもんや!!」
ぷいとそっぽを向く翼宿を美朱は懐かしそうに見つめた
しかしそんなにいつまでものんびりしていてはいけないのだ
「それでね・・・翼宿・・・私がここに来た理由なんだけど・・・」
「あぁせやったな」
「あのね・・・どうやら今魔神の化身が翼宿達を・・・朱雀七星士達を襲おうとしてるらしいの!!」
「え・・・?」
「こっちの世界もその歪みが来たみたいで今色々な自然現象が起こってるの・・・だから私早くみんなに知らせようと思って・・・」
「ホンマに俺達を?何でなんや?」
「分からないけど・・・」
「俺は大丈夫やけど・・・井宿にも知らせなあかんな。それに・・・せや。生まれ変わった柳宿達にも・・・」
「その方法が分からなくて・・・」
「よっしゃ。俺も行ったるさかい。朱雀七星の危機に当人が黙っておけるかい。ちょっと待っとけ」
「えっ・・・?ちょっと・・・」
自分の事は棚上げ状態で翼宿は急いで功児に知らせに行った
「一人で大丈夫かな・・・翼宿・・・」
美朱は何故か言い知れぬ不安を抱えていた

功児の部屋までの廊下の途中
翼宿は木陰で聖夏がしくしくと泣いているのが見えた
「聖夏・・・?」
さっき怒った事を気にしているのか
翼宿が声をかけようとしたその時
向こうの家の屋根から何か光るものが見えた
弓矢
「聖夏!!」
翼宿は地を蹴って聖夏のいる場所へ駆けた
その時弓矢は放たれた
グサッ
「うっ・・・!!」
「幻狼!!」
聖夏の頭上を庇う様な体制で見事に背中に弓矢がヒットした翼宿

「アホ・・・やなぁ・・・また泣いとったんか?」

苦し紛れにニッと笑う
「幻狼!喋ったら駄目!!」
その時更に二本の矢が翼宿の背中を突き刺した
「嫌だ!幻狼!!誰か・・・誰か来てぇ!!」
その叫び声に功児が気づいて駆け出した
そこには、全身血まみれの親友と、返り血を浴びて震えている少女がいた
4/56ページ
スキ