ENDLESS STORY

「柳・・・宿は・・・」
雪は、言葉の続きを待っている
翼宿は、無理に笑顔を作った
「柳宿は・・・遠くの国の奴やねん。今は、俺らと一緒におるけど・・・この闘い終わったら・・・帰らなあかんねん。俺らも・・・会えなくなる。せやから・・・・・柳宿は、難しいやろうな・・・」
雪は、項垂れた
「そうなんだ・・・」
仕方がない
言ってはいけない
この幼い少女には
「でも・・・たすきとぬりこ・・・絶対・・・仲直りしてね・・・?雪・・・たすきとぬりこの笑った顔見たい・・・たすきとぬりこに、たすきのお家に送ってほしい・・・」
最後の我侭
翼宿は、雪の頭を撫でる
「しゃあないな・・・分かった」

井宿と軫宿、そして光は居間で待っていた
「光。退屈をさせて済まないのだ」
「いいよ。翼宿兄ちゃんと柳宿さん、大変そうだもん」
「光はしっかりしているのだ。パパ似なのだ?」
「魏よりも、しっかりしているんじゃないか?」
軫宿も、笑う
「井宿さん・・・軫宿さん・・・僕もね・・・どうしたらいいか・・・分からない事が・・・あるんだ」
優しい二人に、光はぽつりぽつりと話し出した
「どうかしたのだ?」
「あのね・・・・・・・・・・僕・・・・・・・・・・実は・・・」
中々、次の言葉が出ない

「恋か?」

勘のいい軫宿は、そう問いただした
「うっ・・・」
「そうなのだ?まさか・・・雪ちゃんなのだ・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・分かんない。けど・・・初めて会った時、凄く可愛いなって思ったんだ・・・」
二人は、ほうとため息をつく
「そうか・・・中々お似合いかもしれないぞ」
「そうかなぁ・・・?」
しかし、光も井宿も軫宿も知っていた
光と美朱は、いずれは向こうの世界に帰らなければならない
やはり、美朱の息子・・・といったところだろうか
二人とも、天地書の人間に恋をしている
しかし、せっかく見つけた恋の花を井宿も軫宿も、最初から潰す気はなかった
「気持ちだけでも・・・伝えてみてはどうなのだ?」
「僕が・・・?」
「そうなのだ。その気持ち、大事なのだ」
「そうだぞ。ひとついい経験になる」
「だけど・・・だけどね・・・雪ちゃん・・・・・・・翼宿兄ちゃんの事・・・凄く好き・・・なんだ」
その言葉に、二人は驚きの表情を見合わせた
「翼宿を?」
井宿は、少し吹き出す
「まあ・・・・・・・・・いつまでも子供の気持ちでいるところがあるからなぁ・・・あいつは」
軫宿も、腕組みをして苦笑する
「だけど・・・翼宿兄ちゃん。本当・・・かっこいいよ。僕も、憧れてる。あんなに一途に柳宿さんを想って・・・仲間を大切にして・・・自分の使命をちゃんと果たしてるもん」
「雪ちゃんも・・・きっと、そんな気持ちなんじゃないのかと思うのだ」
井宿の言葉に、光は顔をあげる
「翼宿の性格は、子供の心を惹きつける素質があるかもしれないのだ。だけど、それはきっと恋じゃなくて、憧れだと思う。君は、あの二人が異性だから意識しすぎてるだけではないのだ?」
それは、明らかに光に希望を与える言葉だった
「僕の事・・・雪ちゃん、嫌いじゃないかなぁ?」
「雪だって、きっとお前の事をいい感じに見てると思うぞ」
軫宿も、エールを送った
「ごめんなさい。こんな大変な時に・・・」
「何を言ってるのだ。いい話を聞いたのだ」
「そうだな。こんな時だからこそ、そういう話、大事だぞ」
話してよかった
そう思えた


おぎゃあぎゃあぎゃあ・・・
「あらあら。学礼。おっぱいかしら?今、あげるわよ~」
学礼の母が、自分の生まれたての赤ん坊・学礼をあやす

危険です・・・逃げてください

そう、言い聞かせるように
「張宿。見つけた・・・」
窓の外には、たくさんの烏
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