ENDLESS STORY

「まだ痛いわ・・・どあほ」
翼宿は、宿の廊下で頬を濡れ布で冷やしている
「しっかし・・・俺らしくあらんな」
あんな小さな子供の為に、あんなに必死に・・・
その時
「あの・・・」
若い女性の声
翼宿は、その声の主は振り向かずとも分かった
「・・・雪の母ちゃんやな・・・?」
先程の喧嘩を一角から怯えた目で見つめていた女性だった
「先程は大変失礼しました・・・主人が・・・!!」
声は震えていた
「しゃあないやん・・・。女が入ってもあの喧嘩は止められん」
「雪も・・・あなたに凄く感謝してると思います!!」
「まだ・・・会ってやれんのかいな・・・?」
「今はまだ・・・主人があんな不躾な態度を取った中、のこのこと出ていけません・・・」
「あんたが落ち着いて迎えに来れるようになるまで、俺らが預かっておく。雪は・・・俺の実家に預けるから」
「お願いします・・・。ありがとうございます・・・」

パタン
「翼宿」
柳宿は部屋の中から出てきた
「雪は?」
「泣き疲れて寝ちゃった」
「さよか・・・」
「大変だったわね・・・」
その場に沈黙
「雪の母ちゃんの・・・麗華さんに会うたで」
「本当!?」
「ああ。ここでビンゴやったみたいやな」
「それで・・・」
「まだ会えんらしい。まぁ、まだ雪も気が動転しとるしな」
「そうよね・・・」
「俺の実家に預ける事にするわ。いつまでも俺らにくっついとる訳にもいかんやろ」

「あんたは・・・?」

「ん?」

「・・・このまま雪の父親になっちゃうのはどう・・・?」

突然の提案
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