ENDLESS STORY

一行は宿に戻った
「軫宿~苦労したで・・・お前探すの」
「すまなかったな。俺とした事が敵の気配を感じ取れなかったとは・・・」
「少華ちゃんに夢中だったんでしょ~?」
柳宿が横から冷やかす
すると、声が聞こえる

「みんな!!聞こえるのだ!?」

「井宿!?」
その瞬間、笠が現れた
中からは、井宿の姿
「待たせたのだ!!」
「井宿!!目覚ましたんやな!?」
「心配かけたのだ・・・おいらはもう大丈夫なのだv」
「よかった・・・」
「二人もよくやってくれたのだ!!早く宿に戻るのだ!!」
「待って!!」
柳宿が制止する
「まだ・・・この子が」
「井宿。ちぃと訳あってこの餓鬼預こうとるんや。親元に送り届けてから戻るから、先に軫宿連れてってもろてえぇかいな」
「・・・分かったのだ。みんなにはおいらから伝えておくのだ!!なるべく単独行動はしないのだ!!」
「気をつけろ」
井宿と軫宿は、笠の中に消えていった
「すご~い。笠の中に入っちゃった!!」
今まで黙っていた雪が目をぱちくりさせて、口を開いた
「どやv凄いやろvこれが俺たち朱雀七星士の力なんやで!!」
「たすきもさっきかっこよかったよ!!」
「何やねん~おだてても何も出ぇへんぞ!!」
そんなじゃれる二人を、柳宿はやはり心中複雑な気持ちで見やっていた

雪・・・本当はもっとずっと一緒にいたいのよね・・・。
けど、もうすぐお別れなのよ・・・。

それは、応援したい気持ちの裏に隠れた嫉妬心だった

「ほな。今度こそ探してくるで!!」
「気をつけるのよ?」
「お前もちゃんと雪見張っとれよ!!」
翼宿は全速力で繁華街を駆け抜けていった
「じゃあ雪・・・少し休んで・・・」
しかし、振り向いた場所に雪はいなかった

雪はすぐさま翼宿を追いかけたのだ
はしゃいでいても、やはり迫る別れを実感せずにはいられなかったから
この逸る気持ちの正体、翼宿を追いかければ分かる気がした
「すまんな・・・実は、麗華ちゅー女将はん探しとるんやけど・・・」
翼宿が女将に声をかけた
その時だった

「雪・・・?」

恐ろしい声が聞こえてきた
振り返ると・・・
「パパ・・・」

「大変!!表で男が子供を殴ってる!!」
女将が駆け込んできた
その言葉に翼宿が飛び出す

バシン
凄まじい音
「貴様は!!パパを置いてどこをほっつき歩いていたんだ!!こんなところで油を売って・・・」
倒れた雪の髪の毛をぐいと掴む
周りでは野次馬が悲鳴をあげる

やだ・・・助けて・・・たすき・・・

バキッ
続いて更に凄まじい音
その瞬間、父親の体が宙を飛んだ
雪が倒れたその前に立ちはだかるのは大好きな人

「何・・・・・・・・・・・・・やっとるんや・・・!!!!」

その声は、今までに聞いた事がない声
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