ENDLESS STORY

「とにかく・・・先に軫宿かいな。明日の朝にここに来る言うとったしな」
雪が眠りに落ちた後、翼宿が柳宿に呼びかける
「その間・・・雪はどうするの?」
「勿論、置いていくに決まってるやろ。ここの親父さん、偉い親切やねん。子供一人喜んで置いてくれるやろ」
「あたし・・・・・・・・雪も連れてった方がいいと思う」
「は?」
「だって・・・やっとあたし達と馴染めたところだったのに」
「柳宿なぁ・・・せやけど」
「それに・・・この子、どうもあんたとの繋がりのように感じるのよ」
その言葉に翼宿の言葉が止まる

「あんたとあたしが結ばれた朝に・・・この子と出会ったでしょう?」

翼宿の顔がみるみる真っ赤になっていく
「ばっ・・・ドアホ!!それとこれとは関係ないやろが!!」
「しっ・・・雪が起きちゃう!」
本当は翼宿とこの子を離しては、彼女が可哀相だからなのだが・・・
しばらく黙っていると、翼宿の腕が自分を包み込んだ

「このお節介・・・」

「翼宿・・・」
それは、了解の合図だった


「お客さーん」
次の日の朝、階下から親父の声が聞こえてきた
「きたあああああああ!!」
そのまま転寝をしていた翼宿が飛び出した
「すまないねぇ・・・今日は、徐さんの親父さんの方だったよ」
その言葉に降りかけた階段を一気に転げ落ちる
「な・・・何やねん・・・驚かせよって・・・」
「あなた・・・朱雀七星の翼宿さんですか?」
その男性は見覚えのあるような顔をした
「先日は息子がお世話になりました・・・。いやぁ、奇遇ですね。こんなところで・・・」
「いやいや。そら俺は!!窮地に追い込まれたこの紅南を救った朱雀七星士翼宿やけど・・・」
「徐さんですか!?軫宿の生まれ変わりのお父さんですね!!お願いします!!今すぐ私達を軫宿に会わせてください!!」
自慢話を始めようとした翼宿を押しのけて、柳宿が駆け込んだ
「たすき・・・大丈夫?」
壁に半分頭が刺さった翼宿を雪は心配そうに見つめる
徐の男性も、いきなりの美人からの声がけに面食らったように答えた
「ああ・・・。長生は元気だよ。夕べも遅くまで少華と遊んでいた」

「少華姉ちゃ~んv」
同じ花畑で遊ぶ二人の子供
その二人を見つめる翼宿と柳宿
「こんな大変な時に・・・軫宿は何をのんびりしとるんや」
翼宿はため息をつく
「いいじゃない・・・可愛い光景だわ」
柳宿は、くすりと笑った
茂みの中から、一匹の蛇がじっとその光景を眺めていたとも知らずに
28/56ページ
スキ