ENDLESS STORY

「貴様は・・・!!」
騎士は静かに鉄扇をかざす
「燃やされたいか?つか、邪魔なんやけど」
「翼宿・・・」
その背中から、光が飛び降りた
「翼宿兄ちゃん!!早く柳宿さんを・・・」
ビシッ
途端に紳士の懐から鞭が飛び出し、光を狙った
そこを間一髪で庇った翼宿
「阿呆!!やっぱお前がいても邪魔になるだけや!!」
シュルルルルッ
すると、翼宿の鉄扇に鞭が絡みついた
「はははっ・・・身動きも出来やしねぇ」
「・・・・・・何か言うたか・・・!?」
途端に呪文を唱える翼宿
「烈火神焔!!!」
炎が発せられたと同時に、翼宿はすぐさま腰を抜かした紳士に鉄扇を突きつける
「聞こか・・・?俺らを狙った目的を・・・」
「くっ・・・」
「吐け!!何で俺ら朱雀七星士を・・・!!」
「何で・・・?だったら、教えてやるよ・・・あんたらが、その昔倒した天コウさまの子孫が魔神になりきれなくてさ迷ってるんだよ!!それで・・・豪焔様が・・・無力だった俺たちに力を・・・」

次の瞬間、紳士の体が裂けた

「うわああっ!!」
光が腰を抜かす

『余計な事を言うでない・・・』

途端に後ろの壁が黒煙に包まれ、顔が浮かび上がった
「豪焔様・・・申し訳ありま・・・ぐはっ!!!」
そのまま、紳士は倒れた
『これはこれは・・・お喋りな部下で申し訳ない』
「誰や・・・!?」
『いかにも・・・今回の主犯格の豪焔だ。翼宿・・・中々男らしい男だ。是非お前と対戦してみたい』
「何やそれ・・・宣戦布告は堂々と出てきてせぇや」
『まぁ待て。今回は退散する。しかし・・・仲間に伝えておけ。必ず・・・必ず我々が朱雀七星お前らを潰す・・・』
そのまま、その顔は消えていった
後に残ったのは、光の泣き声
翼宿はしゃがみこむと、その頭をガシガシと撫でた
「泣くな。男やろ」
「だって・・・」
「翼宿・・・」
柳宿の声に翼宿は振り向いた
「行こか・・・。男二人担ぐんは大変や」


「光!!」
宿に戻った光を、美朱は抱きしめた
「怖かったね・・・よく頑張ったね・・・」
息子は大声で泣いていた
やはり子供だ
もう絶対に離したくはない
「翼宿と柳宿は・・・」
「隣の部屋で休むと言っていた」
星宿の声は沈んでいる
「もう少ししたら・・・謝りに行こう?星宿」
美朱の呼びかけに、星宿は黙って頷いた

「大変な事になったわねぇ・・・」
「せやな」
月明かりが差し込む部屋で・・・二人は壁に寄りかかっていた
「ありがとね・・・今回は助けられてばっかりだわ」
「そんなん・・・俺のがもうお前の何年も生きてるんや!!当たり前やろ」
そんな素直じゃない口調にも、柳宿は微笑む
暫しの沈黙の後
「俺・・・」
「何?」
「他にもお前を助けられんのかいな?」
「え?」
翼宿の顔面は真っ赤で
「一人で・・・悩むなて」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「こんなんでも・・・話くらい聞くし」
星宿に先を越されたのが悔しかったのだろう
「じゃあ・・・甘えちゃおうかしら」
柳宿は、翼宿の肩にそっと頭を置く
「・・・・・勘違いしないでよ」
「・・・・・誰が」
ほんの少し結ばれた・・・でもまだ・・・遠い二人
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