ENDLESS STORY

「何!?柳宿が!?」
「そうなのだ!!おいらここに流れ着く前に感じたのだ!!柳宿の怒りに満ちた気を・・・」
「何で怒りに満ちて・・・」
「多分敵と戦っていたのだ。七星の気も強く現れていたし・・・」
「大変!!早く助けなきゃ!!」
「でも・・・」
「え?」
「今その気が消えたのだ。多分助かったのではないだろうか・・・柳宿」
「そうなの!?」
「無事だといいのだが・・・」
「無事やなかったら怒る!!」
翼宿はずかずかと先に進もうとした
「待ってよ翼宿!!居場所も分からないのに何処に行こうって言うのよ!!」
「じゃっかあしい!!今から井宿に連れてって貰うんや!!出来るやろ?井宿!!」
「まぁ・・・おいらも修行を積んだので・・・失敗しなければ・・・」
そう呟いて袈裟を広げた
「光!!この中に入るのよ!!上手く行けば柳宿のトコ連れてってくれるらしいから!!」
「えぇぇぇ!?ここに入るの!?」
「何怯えてるの!!お兄ちゃんでしょ!?」
「しゃあないなぁ!!まず俺が見本を見せたるで!!よう見とけや光!!!」
そう叫んで翼宿は思い切り袈裟にタックルした
「・・・あ。まだ呪文唱えてなかったのだ・・・」
ガン!!!
無様に地面に顔面から着地した
「不安だよ・・・ママ」


「ん・・・」
柳宿が目を覚ましたそこは小さな宿屋だった
(どうしてここに・・・?あたしどうしたんだっけ・・・)
そんな事をうすらうすら考えていた前に
「柳宿・・・」
清楚で整った星宿の顔が見えた
「☆□○★■●!!??」
「よかった・・・気がついた様だな・・・」
「ほっ・・・星宿様!?どうなさったんですかこんな所で!!」
「それはこっちの台詞だ!!何故無茶して一人で闘おうとしたのだ!?」
そこであの戦いを思い出した
(そうだ あたし狼男と・・・)
途端悪寒が走った
「・・・柳宿?」
小さく肩が震えている
「すまぬ・・・そなたを怖がらせるつもりは・・・」
「・・・違います・・・あたし・・・あの狼と一人で・・・って思ったら急に・・・」
そこで星宿も何故柳宿が怯えているのか分かった
「柳宿・・・」
「あたし・・・本当は寂しかったんですよね・・・あの時一人で尾宿と闘って・・・結局殺されちゃって・・・馬鹿みたい・・・名誉の戦死ったってそんなの世間から見ればの話です・・・あたしどれだけ怖かったか・・・どれだけ悔しかったか・・・どんなに悲しかったか・・・誰も知らない・・・」
頬を一粒の涙が伝った
本当はこんな体要らなかった
空を飛べたって 天国で過ごせたって
誰にも触れられない 大好きな人にも触れられないこんな体なんか
すると、星宿の優しい腕がそっと柳宿を包み込んだ
「・・・分かっている。私は・・・お前の頑張りもお前の悲しみも全て受け止めているよ・・・柳宿」
「星・・・宿・・・様・・・」
「今夜は私の胸を貸してやる・・・泣いてもいいぞ柳宿・・・」
「星宿様・・・」


「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ズガン!!
場所は見事に一致したものの結局一番最初に飛び込んだ翼宿が真っ先に地面に激突した
「全く・・・どうしてお前は時の流れに身を任せられんのだ?」
初めて袈裟で移動した光でさえしっかりと袈裟に導かれたのに翼宿は脱線してこの有様
「えぇねん!!俺は行動派で行くんや!!」
「ところで・・・柳宿は本当にここに・・・?」
「何やこの殺風景な街は・・・何でこんなトコにあいつが・・・」

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その時泣き声が翼宿の耳に届いた
「何や・・・?」
この声は紛れもなく柳宿の声だった
翼宿は嫌な予感がして走り出した
「ちょ・・・ちょっと翼宿!?」
3人も慌てて走り出した

ぽつんとそびえ建つ宿屋
そこのドアを翼宿は開けた
「柳宿!!」
その光景を見て翼宿の動きは完全に止まった
そこには星宿の胸に顔を埋めて泣いている柳宿の姿があった
後から駆けつけた3人も目を疑った
「柳宿・・・星宿・・・!?」
柳宿はゆっくり顔を上げて驚いた
「翼宿・・・」

友情と愛情の境界線、何処なんですか?
何処から何処までが「友情」で、何処から何処までが「愛」?
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