ENDLESS STORY

「井宿井宿井宿井宿~~~」
「井宿井宿井宿井宿~~~」
美朱と光は二人で必死に井宿の名前を叫んでいた
しかしいっこうに彼の気配はしない
翼宿は頭を掻いた
「あかんやん~~~美朱も巫女の力弱まっとるんちゃうんか?」
「んなっ・・・失礼な・・・!!」
その後ろから柳宿はグーで翼宿の頭を殴った
「何であんたが仕切ってんのよ!!あんただって七星士なんだから、仲間の気くらい引き寄せられるんじゃないの!?」
「だ~~~何すんねんこの怪力オカマ!!」
その言葉に柳宿がキレた
次の瞬間ぼこぼこにされた血まみれの翼宿が倒れていた
「何よ!!あんたにはいい加減デリカシーってもんがないの!?そんなんだから一生独身なのよ!!!」
そのまま柳宿は何処かへ空中浮遊して行ってしまった
「柳宿~~~あんまり遠く行かないでよ~~~」
美朱の声は届いたのか
「翼宿兄ちゃんカッコ悪・・・」
「じゃかあし」
「光もこういう大人にだけはなっちゃ駄目よ」
「美朱・・・お前まで」

「だってそうじゃない・・・どうしてもっと好きな人に素直になれないのよ・・・」

「・・・・」
その言葉に翼宿は拗ねた様に顔を赤らめた
「柳宿がもう死んでるから?そんなの関係ないじゃない・・・ずっと温めてきたその気持ちをきちんと伝えてあげる事が一番なのよ・・・」
「あかん・・・」
「え・・・?」
「このままでえぇんや・・・俺が阿呆な事言ってあいつが俺をぼこぼこにする・・・これが一番幸せな時間なんや・・・この時間さえ壊してしまうかもしれへん・・・」
「翼宿・・・」
人一倍プライドが高いあいつだから

そして誰より柳宿が愛しているのは只一人・・・

  
「何よ何よ何なのよ!!みんなして井宿井宿井宿って!!あたしは役立たずなの!?」
さっきからその事ばかり気にしていた柳宿
そしてそれに追い討ちをかける様に言われた翼宿の言葉
『怪力オカマ』
いつも言われていた筈なのにやけに胸が痛む
(やっぱあいつにとってあたしは・・・只の怪力オカマなんだなぁ・・・)
そこでため息をついた
かなり遠くの山村まで来てしまった様だ
でも少しこういう静かな場所で休むのもいいかもしれない
すると
一人の少年が目についた
墓石の前でお参りしている一人の少年
「あれは・・・」
そう。それは朱雀七星士星宿の生まれ変わり永安の姿だった
「そうか・・・永安の実家ってここだったっけ・・・」
永安は、遠くの村へ引っ越してしまったが、やはり実家の朱雀村には立ち寄っているようだ
彼も柳宿と同じく記憶を亡くした一人の少年朱永安として、この世に暮らしていたのだ
彼は朱雀の墓石の前で静かに手を合わせている
(星宿様なんて端麗でしとやかで気品溢れるお方よ・・・あいつとは大違い・・・)
星宿の姿を重ねながら柳宿は頬杖をついて永安の姿を眺めていた
お参りが終わった永安が水を持って立ち上がろうとしたその時だった

素早く何か黒いものが永安に覆い被さった

柳宿は目を疑った
それは黒い布をまとった不気味な男
彼は永安の気を一発で失わせた
「ちょっと・・・待ちなさい!!」
愛する七星士が今目の前で攫われようとしている
柳宿の瞳に闘志の炎がついた
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