ENDLESS STORY

「美朱・・・」
指輪の欠片を前にして魏、奎介、唯、哲也は呆然としていた
「どうにかして・・・助けられる方法はないのかしら・・・」
「唯がまた天地書に入る事は出来ないのか・・・?」
「それはもう出来ないわよ・・・あたしはたまたま美朱を呼び寄せようとしてその反動で中に入れただけだもの・・・媒介がないと・・・」
「媒介・・・」
魏が頭を抱えた
「何だってんだよ!!俺だって朱雀七星士だぞ!?鬼宿だぞ!?仲間が既に二人も犠牲になってるっていうのに何も出来ないなんて・・・」
「魏・・・」
「これじゃ俺が現実世界に逃げてきたみたいじゃねぇか!!」
「魏・・・そんな事ない・・・そんな事ないよ・・・」
奎介が横から宥めた


「じゃあ魏の代わりにここへ来たって言うの!?」
全てを話した光はこくんと頷いた
「どうして魏もそんな事・・・」
「鬼宿の気を感じたからじゃないの?」
柳宿が呟いた
「柳宿・・・どういう事・・・?」
「あたしが襲われてた時この子の額に「鬼」の字が出たのよ・・・」
「ほんまか!?」
「多分・・・あれは間違いない・・・気も鬼宿のものだったわ・・・」
「て事は・・・」

「二人目の鬼宿・・・」

その言葉に一行は言葉を失った
「て事も考えられるわよね?」
柳宿はけろっと口調を変えた
「せやけど、今のたまはどないなんねん?もう力がないんか?」
「確かに現実世界にいればそういう感覚も麻痺してくるかもしれない・・・何せ魏はもう完全な人間になったも同然なんだから・・・」
「それが今の美朱の子どもに転移したっちゅう事になるんやな?」
翼宿が知ったかぶった様に腕を組んで頷いた
「そんな事って・・・」
美朱はショックを受けていた
「美朱・・・あたし達でさえやられそうになった相手だもの・・・相手は相当手ごわいわ・・・だとすると今は完全な人間になっている魏なんて簡単にやられてしまうわよ・・・その前にあたし達の力で何とかしないと・・・」
柳宿に肩に手を置かれた美朱は恐る恐る頷いた
「今まで以上に手ごわいちゅう訳かいな・・・」
翼宿は頭を掻いた
そこで手をぽんと打った
「せや!!井宿呼べへんのかいな!?井宿やったら何かいい考え持っとるかもしれへん!!太極山に繋がっとるのもあいつしかおらへんしな!!ほれ!!美朱!!前みたいに念じて、井宿呼んでみ!!」
「えええ!?そんな急に言われても・・・」
「せやったら光!!お前でもえぇで!!今は鬼宿の意志を引継ぎしもんとして!!」
「えええ!?僕だって出来ないよ・・・」
井宿召喚についてぎゃーぎゃー騒いでいる3人に柳宿は悲しげな目を向けた

翼宿・・・あんた・・・やっぱり・・・

言い様のない思いを喉の奥で飲み込んだ
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