ENDLESS STORY

2002年
21世紀という新しい時代を迎えた日本国。
この時代にはるか昔、伝説となった元朱雀の巫女夕城美朱も今は宿南美朱となり、 平凡に暮らしていた
しかし、今となっても美朱はかつて共に戦い、過ごしてきた仲間を忘れる事はなかった

「星宿・・・。柳宿・・・。井宿・・・。翼宿・・・。軫宿・・・。張宿・・・。みんな・・・、今頃どうしてる?」

美朱は、そっと机の上の写真たてに語りかけた

「ママー。学校遅れちゃうよー!」
「何ボーッとしてんだ?美朱!」
夫の魏と、息子の光に呼び止められた美朱はハッと我に返った
「あ。ごめんね!早く朝食の準備、準備!」
「美朱・・・。俺、今日はパンでいいや・・・」
「僕も・・・」
二人は突然後ずさりをしてそう言った
「なーに言ってんの!ママが思い切りほっぺが落ちる料理作ってあげるわよー!」
昨夜もどろどろの鍋を食べさせられた二人は、うっと顔を青ざめた
「腐り落ちるの間違いでは・・・」
二人は、ぼそっとつぶやいた。
「なーんか言った?」
「ううううんううん!食べます食べます!」

数十分後
「行ってらっしゃーい!魏!光!」
「俺・・・今日だめかも・・・」
「僕も、早退してきそうだよ・・・。パパ・・・」
美朱に見送られた二人は口を手で押さえながら道路沿いの道をよろよろ歩いていた
「ねぇ!パパ。僕、ずっと気になってたんだけど、ママとパパの大事にしてる あの写真たての中の人たちって誰なの?」
「ん?あの人たちはな、光という俺達のたった一人の子を授けてくれた仲間なんだよ!お前を生むまでいろいろ応援してもらったんだ。」
「ふーん・・・。何か違うカッコしてるよね・・・。あの人たち・・・」
「光がもっと大人になったら分かるよ」
「僕も会える?」
「会えるさ!」
魏は、懐かしむように澄んだ青空を見上げた

「さーて!お買い物行ってこようかな!じゃ、行ってくるね!みんな!」
午前の家事を終えた美朱は、写真たてに手を振って玄関のドアを閉めた
美朱はまだ写真の異変に気付いてはいなかった
その写真の裏が血で真っ赤に染まっている事には・・・
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