柚子ドロップス

「何とか・・・全部取り返せたなあ」
銀貨を夕日にかざし、翼宿は伸びをする
「よかった・・・これで、礪閣も復興するね」
「まあ、これに頼り切る訳にはいかないけどな」
「応援してるから」
西廊の夕日の塔に、2人は来ていた
「これで、お前ともお別れやなあ」
その言葉に胸がズキリと痛む
分かっていた筈だし、その方がいいと思っていた
「まあ、たまには顔見に行くよって」
頭を撫でる翼宿
「ねえ」
「ん?」
「わたしの事、どう思ってるの?」
それは、以前も聞いた言葉
だけど、その語調に追い詰める気持ちはなくて
ただ単純に思う気持ち

「・・・・・・・・・最初は、ただの餓鬼やと思うてた。柳宿の生まれ変わりでも、お前は玲春やから。でも・・・ずっと一緒にいてお前をただひたすら護りたいって思った。柳宿ではなく、玲春を」

「翼宿・・・」
夕日が沈む
「ねえ・・・証拠見せて?」
「言うな。俺からするとこや」
照れ笑いしながら、2人の唇は近づいた

今、繋がる2人の思い
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