柚子ドロップス

「やっぱりな・・・罠だったって奴かい」
皇帝の間に入った瞬間、翼宿の眼前に刃が突きつけられた
「ようこそ。翼宿」
雷光に照らされたのは、雄孫の姿
「今頃、玲春は檻に囚われている頃だ」
「ふん・・・なら、お前を倒すまでやな」
ハリセンを静かに背中から抜く翼宿

「ふう・・・どうしていつもこうなのかしら」
檻の中に繋がれた玲春
先ほどの侍女に刃物を突きつけられ、ここに閉じ込められたのだ
「翼宿・・・大丈夫かな」
心配そうに、廊下を見やる

刃を突きつけていた門番が、翼宿の蹴りで倒れる
「おらあっ!!」
雄孫にハリセンを振り上げる翼宿
ビリビリッ
途端に、閃光が光った
その閃光に、翼宿は弾き飛ばされた
「何や・・・!?」
「わたしの四方は、電磁波が走っている。いかなるものも触れられず、わたしが触れたものは死ぬ・・・」
「ナメた真似しやがって・・・!」
雄孫が、ゆっくりと近づく
「こんな風に・・・」
雄孫の指が翼宿の額に触れる
「ぐっ・・・!」
電磁波が、翼宿の体を貫く
「大人しくしていてもらおう」

『翼宿が危ない』

頭の中で声が聞こえる
「え・・・?柳宿・・・?」
『今なら、能力を使える。そこから出なさい!』
漲る能力
次の瞬間、檻を手で捻じ曲げ外へ出る玲春の姿があった
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