柚子ドロップス
「玲春!くそ・・・どこにおるんや!?」
一方、翼宿は北甲に到着していた
すると、吹雪の向こうに人影が見えた
「黒炎・・・」
翼宿の中に怒りがこみ上げる
「どうした?翼宿。相棒とはぐれたのか?」
「てめ・・・何でここに・・・玲春はどこや・・・」
「お前なら、分かるだろう?かつての柳宿の血が流れている玲春の居場所などすぐに・・・」
「玲春に・・・手出してへんやろな・・・?」
「それは、確かめてみれば分かる」
ガツッ
翼宿の拳を、黒炎は間一髪受け止める
「・・・・・・・・・・・・・玲春に何かしてたら、貴様殺す・・・」
「ほう・・・仲間意識という奴か?そのくらいは、まだ残っているのだな?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「玲春は・・・酷く傷ついていたぞ」
「貴様・・・」
「また、会おう」
黒炎は、そのまま身を翻す
「玲春・・・玲春!?いるんか!?」
翼宿は、導かれるように無人の小屋に着いた
「玲春・・・?」
微かに、彼女の匂いがする
寝台を覗くと、そこには全身傷だらけになった玲春が横たわっていた
左手には、銀貨を託して
「ん・・・?」
暖かい寝台の中、玲春は目を覚ます
「あたし・・・」
頭が痛い
あの時・・・そうだ。黒炎と・・・
どうなったの・・・?
右手首を見て、ぎょっとする
そこには、くっきりとした赤い痣
誰かに押さえつけられた跡だ
その時、蘇ったのはあの恐怖
一度は受け入れた黒炎の接吻だったが
振り切ろうとして暴れた時に押さえつけられたのだ
ここはどこ・・・?翼宿は・・・?
「玲春」
「・・・・・・・・・・・あ」
入口には、お粥を持った翼宿が立っていた
「ちょうど食べるもん持ってきたんや。食えるか・・・?」
「うん・・・」
「うん。顔色よくなったな」
優しい翼宿の笑顔
「あの・・・あたし・・・」
翼宿に見られたと悟った
「・・・・・・・・・・・何も考えんでええ。旅は中断や」
「でも・・・」
棚の上には、囮になった銀貨
「翼宿・・・銀貨・・・きちんと手に入ったよね・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「翼宿・・・?」
途端に、翼宿が玲春を抱きしめる
「翼宿・・・」
「あんな銀貨いらん・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「お前を犠牲にしてまで、俺は国を救おうなんぞ思えへん・・・」
泣いているのか
翼宿の肩が震えている
「・・・・・・・・ごめん」
「謝るな・・・俺のせいや・・・」
「そんな事・・・」
「なら、償わせてほしいんや・・・」
「え・・・?」
「お前の痛みが軽くなるなら・・・」
翼宿のまっすぐな瞳に、鼓動が鳴る
そのまま、一番欲しかった彼の唇が静かに近づく
罪滅ぼしでもいい
あなたといられるなら
一方、翼宿は北甲に到着していた
すると、吹雪の向こうに人影が見えた
「黒炎・・・」
翼宿の中に怒りがこみ上げる
「どうした?翼宿。相棒とはぐれたのか?」
「てめ・・・何でここに・・・玲春はどこや・・・」
「お前なら、分かるだろう?かつての柳宿の血が流れている玲春の居場所などすぐに・・・」
「玲春に・・・手出してへんやろな・・・?」
「それは、確かめてみれば分かる」
ガツッ
翼宿の拳を、黒炎は間一髪受け止める
「・・・・・・・・・・・・・玲春に何かしてたら、貴様殺す・・・」
「ほう・・・仲間意識という奴か?そのくらいは、まだ残っているのだな?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「玲春は・・・酷く傷ついていたぞ」
「貴様・・・」
「また、会おう」
黒炎は、そのまま身を翻す
「玲春・・・玲春!?いるんか!?」
翼宿は、導かれるように無人の小屋に着いた
「玲春・・・?」
微かに、彼女の匂いがする
寝台を覗くと、そこには全身傷だらけになった玲春が横たわっていた
左手には、銀貨を託して
「ん・・・?」
暖かい寝台の中、玲春は目を覚ます
「あたし・・・」
頭が痛い
あの時・・・そうだ。黒炎と・・・
どうなったの・・・?
右手首を見て、ぎょっとする
そこには、くっきりとした赤い痣
誰かに押さえつけられた跡だ
その時、蘇ったのはあの恐怖
一度は受け入れた黒炎の接吻だったが
振り切ろうとして暴れた時に押さえつけられたのだ
ここはどこ・・・?翼宿は・・・?
「玲春」
「・・・・・・・・・・・あ」
入口には、お粥を持った翼宿が立っていた
「ちょうど食べるもん持ってきたんや。食えるか・・・?」
「うん・・・」
「うん。顔色よくなったな」
優しい翼宿の笑顔
「あの・・・あたし・・・」
翼宿に見られたと悟った
「・・・・・・・・・・・何も考えんでええ。旅は中断や」
「でも・・・」
棚の上には、囮になった銀貨
「翼宿・・・銀貨・・・きちんと手に入ったよね・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「翼宿・・・?」
途端に、翼宿が玲春を抱きしめる
「翼宿・・・」
「あんな銀貨いらん・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「お前を犠牲にしてまで、俺は国を救おうなんぞ思えへん・・・」
泣いているのか
翼宿の肩が震えている
「・・・・・・・・ごめん」
「謝るな・・・俺のせいや・・・」
「そんな事・・・」
「なら、償わせてほしいんや・・・」
「え・・・?」
「お前の痛みが軽くなるなら・・・」
翼宿のまっすぐな瞳に、鼓動が鳴る
そのまま、一番欲しかった彼の唇が静かに近づく
罪滅ぼしでもいい
あなたといられるなら