柚子ドロップス
倶東に到着し、2人は皇帝の元へ銀貨を受け取りに行く
「そうか・・・大変だな、翼宿」
今は良心的になった皇帝が、翼宿を気遣う
「ただでさえ我が倶東が紅南に損害を与えたというのに・・・今度は西廊か」
「お気になさらないでください、皇帝。こうして銀貨をいただけるだけで助かります」
「今夜は、倶東に泊まりなさい。そのお姫様もお疲れと見える」
「ありがとうございます。追っ手もおりますんで、明日の早朝にはここを出ます」
「そう言わずとも、ゆっくりしていけ」
トントン
「はい」
玲春が、翼宿の部屋の扉を開く
「何や・・・玲春。眠れないのか?」
「そうじゃないけど・・・ちょっといいかな?」
「・・・・・・・・・・・・うん」
玲春は、部屋の隅の椅子に腰掛ける
「・・・・・何か飲むか?」
「ううん。このままで・・・すぐに終わるから」
「そっか」
翼宿も、その椅子の向かいの椅子に座る
「何か黒炎にされたんか?」
「ううん・・・寧ろ隙をつかれた事ばっかり言われた」
「は・・・?」
「翼宿・・・わたしの事どう思ってるの?」
「え・・・それは放っとけない妹やと・・・」
「そうじゃない。女として・・・」
「・・・玲春?」
「あなたは・・・柳宿さんを愛していたんだよね?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「確かに、わたしと柳宿は違う。性別も違うし性格も違う。同じなのはこの能力だけ・・・それでも、あなたに出会った時からあなたとだけは初めて出会った感じはしなかったの」
「玲春・・・」
「気付いていた・・・でももう二度と会えないと思ってたから忘れようとしてたんだよ、でも・・・」
静かに、翼宿の手に自分の手を重ねる
「変な意地張った事は謝ります。わたし、柳宿に嫉妬していた。わたしも柳宿に負けないくらいあなたが好きだったから」
翼宿の瞳に、明らかに迷いが見えた
沈黙が流れる
「・・・・・・・・・・・・・・玲春」
心臓が止まりそうになる
「すまん・・・過去に柳宿を愛した事がある俺を好きになったら、またさっきのようにお前を傷つけてしまうかもしれん・・・俺には、お前を不安にさせない自信が・・・・・・・・・ない」
いつも自信に満ちていた翼宿が見せた弱さは、優しさなのかもしれない
それでも、そこには確実に断りの意が示されていた
「・・・・・・・・そうだよね」
玲春の語尾は、微かに震えていて
「ちょっと遅かったか・・・」
乾いた笑い
「おい・・・」
「変な事言って、ごめん!早く銀貨を集めて黒炎を倒して・・・わたし達別れよう?」
「玲春・・・」
「おやすみなさい。また明日・・・翼宿」
これ以上一緒にいたら、辛くなる
翌朝
翼宿は、気まずそうに玲春の部屋の扉を叩く
「玲春・・・出るで。ちょっと早いけど、倶東の民に迷惑かけない為にも・・・」
返事がない
「玲春!?」
その部屋の中には、置手紙
『北甲に行って、銀貨を貰ってきます。西廊で、合流しよう』
「そうか・・・大変だな、翼宿」
今は良心的になった皇帝が、翼宿を気遣う
「ただでさえ我が倶東が紅南に損害を与えたというのに・・・今度は西廊か」
「お気になさらないでください、皇帝。こうして銀貨をいただけるだけで助かります」
「今夜は、倶東に泊まりなさい。そのお姫様もお疲れと見える」
「ありがとうございます。追っ手もおりますんで、明日の早朝にはここを出ます」
「そう言わずとも、ゆっくりしていけ」
トントン
「はい」
玲春が、翼宿の部屋の扉を開く
「何や・・・玲春。眠れないのか?」
「そうじゃないけど・・・ちょっといいかな?」
「・・・・・・・・・・・・うん」
玲春は、部屋の隅の椅子に腰掛ける
「・・・・・何か飲むか?」
「ううん。このままで・・・すぐに終わるから」
「そっか」
翼宿も、その椅子の向かいの椅子に座る
「何か黒炎にされたんか?」
「ううん・・・寧ろ隙をつかれた事ばっかり言われた」
「は・・・?」
「翼宿・・・わたしの事どう思ってるの?」
「え・・・それは放っとけない妹やと・・・」
「そうじゃない。女として・・・」
「・・・玲春?」
「あなたは・・・柳宿さんを愛していたんだよね?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「確かに、わたしと柳宿は違う。性別も違うし性格も違う。同じなのはこの能力だけ・・・それでも、あなたに出会った時からあなたとだけは初めて出会った感じはしなかったの」
「玲春・・・」
「気付いていた・・・でももう二度と会えないと思ってたから忘れようとしてたんだよ、でも・・・」
静かに、翼宿の手に自分の手を重ねる
「変な意地張った事は謝ります。わたし、柳宿に嫉妬していた。わたしも柳宿に負けないくらいあなたが好きだったから」
翼宿の瞳に、明らかに迷いが見えた
沈黙が流れる
「・・・・・・・・・・・・・・玲春」
心臓が止まりそうになる
「すまん・・・過去に柳宿を愛した事がある俺を好きになったら、またさっきのようにお前を傷つけてしまうかもしれん・・・俺には、お前を不安にさせない自信が・・・・・・・・・ない」
いつも自信に満ちていた翼宿が見せた弱さは、優しさなのかもしれない
それでも、そこには確実に断りの意が示されていた
「・・・・・・・・そうだよね」
玲春の語尾は、微かに震えていて
「ちょっと遅かったか・・・」
乾いた笑い
「おい・・・」
「変な事言って、ごめん!早く銀貨を集めて黒炎を倒して・・・わたし達別れよう?」
「玲春・・・」
「おやすみなさい。また明日・・・翼宿」
これ以上一緒にいたら、辛くなる
翌朝
翼宿は、気まずそうに玲春の部屋の扉を叩く
「玲春・・・出るで。ちょっと早いけど、倶東の民に迷惑かけない為にも・・・」
返事がない
「玲春!?」
その部屋の中には、置手紙
『北甲に行って、銀貨を貰ってきます。西廊で、合流しよう』