鬱蒼としげる木々の中を走り続けた、悠真は、息も絶え絶えに、草むらに倒れ込んだ。

ゼーハァーと、大きな荒い呼吸をしながらも頭の中は、ずっと考えている。

二人の事を。

今でも、蓮とオファニエルの姿が目に焼き付いて、消えない。

なんだろう、やきもち？

俺が？

なんで？

友達だろう？？

俺は蓮に、憧れていた。

俺は蓮と、いつも側にいるのが、普通になってきていた。

でも、

本当は、友人ではなくて、家族みたいに感じつつ、あわよくば、蓮の一番大事な存在になりたいと、願っている俺がいた。

でも、

蓮には、蓮の人生があって、俺が、そんな存在になる事は、あっては、ならない。

そう、俺たちは、男同士だから…。

悠真の瞳が、潤んできた。

結局は、俺の想いなんて、俺の身勝手な、一方的な想いなんだ。

悠真が、森のなかで、一人、泣きそうになっていた。

その時。

柔らかい、明るくて暖かい、光が、悠真の側で、灯った。

「わっ！わ、わわ、わわわぁ〜！！」

「なんだ！？コレは？は、花！？」

悠真の今までの思考が、驚きのあまり、ぶっ飛んだ。

その花は、まるで、街灯のように、ポツポツと光ながら灯はじめた。

悠真は、自然とその明かりが、灯る方へ歩き出す。

花が明かりを灯す方へ、歩いて行くと、その先には、大きな、西洋風のお城が佇んでいた。

「うわー！スッゴっ！」

「まるで、メルヘンな世界に出てくる、城みたいじゃん！」

悠真は、城の門まで歩いて来たが、流石に、独りじゃ入れなく、門の前をウロウロ歩き考えた
。その挙句、蓮と、オファニエルが来るのを待つ事にした。

（でも、今頃二人、俺の事探してんだろうなー。めちゃくちゃ、二人に、心配かけてるな、俺。）

そう考えていると、お城の門が、ひとりでにゆっくりと開き始めた。

「！！っっ！な、なんだよ！？自動ドアかよ？？」

気づいた、悠真は驚きのあまり、腰を抜かして、地面に尻もちをついた。

すると、門の奥から、人間の姿をした、悪魔が
ゆっくりと歩き、悠真の前に、現れた。

「ようこそ、我が居城へ。」

「首を長くして待ってたよ。悩める子猫ちゃん♪」

「なんちゃって〜！本物の川原悠真君。」

悠真の前に現れた悪魔は、物腰の軽い、まるで、人間なんじゃないかと、間違えそうなくらい、悪魔の片鱗を感じさせない、人間じみた感じの悪魔だった。