現代 Ⅱ
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(天使の魂…。が、俺の中に?)
悠真は、首を絞められていて、意識がだんだんと遠のいていく。
「俺は目的は違うが、その女が言うように、その魂を欲する一人だ。」
(…俺、蓮の別人格に…その目的の為に殺されてしまうのか…。)
悠真は意識が遠のいていくなかで、見えたのは空だった。
空はまるで天国を彷彿させるかのように、幻想的に真っ白な雲が幾重にも折り重なって広がり、雲の合間からは、澄んだ青空が垣間見える。
(なんて、綺麗な空なんだ…。)
(……蓮…。)
悠真の意識は、その空に吸い込まれるかのように薄れて行った。
蓮の別人格は、それを見計らったかのように、悠真を屋上に丁寧に降ろして、そして、何かに苛立ちながら横たわっている、意識の無い悠真に呼びかける。
「いつまで、しらばっくれてんだ?」
「シャティエル!」
蓮の別人格は、明らかに苛立っている様子で、ピリピリしている。
しばらくすると、屋上全体に、甘い香りがどこからか漂い、清々しい清涼な空気が、悠真を中心にサラサラと流れだしてきた。
蓮の別人格は、サラサラと流れてくる清涼な甘い空気に包まれたが、驚きもせず、待ち焦がれていた天使の出現を複雑な面持ちで見ていた。
甘く、漂よう香りを放ちながら、悠真から別人格が現れた。
「………だれ?わたしを呼び覚ますのは…。」
エメラルドグリーンの瞳が開き、明らかに悠真の瞳と違っている悠真が起き上がる。
蓮は、苛立ちからか、甘い香りを鬱陶しく感じて、払いのけようと手を扇いでいる。
蓮の別人格を見た、悠真の別人格(シャティエ
ル)は、言った。
「…あなたは、"レヴィアタン"?」
蓮の別人格は、払いのける手を止め、口元に笑みを浮かべながら悠真の別人格(シャティエル)を見た。
シャティエルは、蓮(蓮の別人格)がレヴィアタンであると分かった。
「…なぜ苛立っているの?あなたが、私を呼ぶ為に、全て仕組んでいた事でしょう?」
「そうだ。」
「私が宿るこの子(悠真)の魂なんて、あなたにはどうだっていい事でしょう。」
「そうだ。」
「始めから、この子を見殺しにするつもりだったのでしょう?私が、目覚めたら、この子の魂は、消えてなくなると分かっていたでしょう?」
「そうだ。」
「なぜ、苛立っているの?」
「……。」
なぜか、レヴィアタンは、返事が、出来なかった。
「すべて、あなたが、計画をしたのよ。その為に、あなたは意地悪な事を堕天した彼(蓮)に、したのでしょう?彼の力を殆どと言ってもいいくらい自分のもの(力)にして、上級天使だった彼の、プライドも、面目も丸つぶしにして。私の力(契約をして世界を支配する)を自分の欲望のままに、使いたいだけの為に、彼だけではなく、私の宿るこの子まで、犠牲にして…。」
「そうだ。」
「じゃあ、なぜ、苛立っているの?」
レヴィアタンは、自分の気持ちが、わからずにいた。
「……。さあな。」