悠の詩〈第2章〉
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「あーうん。心配かけて悪ィ。段々良くなってきてるんだ、リハビリ頑張ってる最中だよ。
今日も病院の帰りでさぁ…駅でコ…土浦先生にバッタリあって。あれよあれよという間にここに連行された(笑)」
俺のいつもの調子に心底安心したみたい、樹深と由野はケラケラと笑う。
コタ先生の方を見ると、何で部外者をここにって抗議する先輩達を「まぁまぁちょっとだけ、いいじゃないか」となだめていた。
俺と目が合ったら、汚いウィンクを寄越してきた(笑)
「あっ、一番星!」
誰かがそう叫んで、俺とコタ先生以外全員が、太陽の光の届かない群青色の空を見上げた。
あれ、星図に載ってないよ…とざわつく中、
「あれは…土星だね。輪っか見えるかな? 望遠鏡で見てみてごらん」
千晴先生がそう言うと、二台しかない天体望遠鏡に部員が群がった。
「おいおい、お前らは小学生か。順番が回って来るまで、他の星座探してりゃいいだろ。
あ、約束通りおにぎりとお茶を…適当に買ってきたから、ケンカしないで分けろよー」
そう言ったコタ先生の所にも部員が群がり(笑)
おにぎりとペットボトルを手に持ちながら、望遠鏡土星観測チームと、肉眼星座観測チームとに自然に別れて、どっちの輪にも入れない部外者の俺。
なんとなく金網の方へフラッと寄っていって、完全に陽の沈んだ町並みを眺めた。家の灯りがポツポツと浮かび上がる。
と、突然俺の横から差し出された、ひとつおにぎりの乗った手。
「ん」
という声と共に、その手は上下に軽く揺れた。
…