悠の詩〈第1章〉

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「新入生の皆さん、今から体育館へ移動します!
 男女別に出席番号順に、廊下に並んで下さい!
 上級生のプラカードについてゆっくり進んで下さい!
 体育館に入ったらそのまま入場となるので、私語などしないように、宜しくお願いします!」

 先生ではなく、上級生(多分生徒会とか学級委員長)が俺達の誘導に回り、すごく忙しそうだった。

 俺達は言われるままにゾロゾロと歩いて、1組から順に体育館へ入っていった。

 組が替わる毎に大きな拍手が迎えて、最後尾の俺が体育館の床に足を踏み入れた時はもうパラパラ程度の拍手で、なんだかなと思った。

 そんなこんなで6クラス全員が、並べられたパイプ椅子に着席して、入学式が始まった。

 校長やPTA会長、他所の学校からの来賓の挨拶なんかは、あくびを噛み殺しながら右から左へ流していた。

 早く終われー、なんてぶっちゃけ思ってた俺の意識をはっとさせたのは、

「担任の紹介」

 そうだ、まだ先生分かってなかったんだった。

 1組から順に、担任となる先生がステージで紹介されて、壇上で一礼すると端から下りて自分のクラスの前に立った。

 1年4組、土浦恒太先生。担当教科、数学」

 少しガタイのいい男の先生。ツンツン頭が印象的で、数学ってイメージじゃない。体育の先生じゃないの?

 そんな事を考えていたら、6組まであっという間に終わって、担任を先頭に、また1組から順に拍手で見送られながら退場した。





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