悠の詩〈第2章〉

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「あー、まーなー。しゃあないや、今踏ん張り時だもん」

「ベスト8だって? これまでで一番の快挙だって聞いたけど。次勝ったら県予選行けるんだっけ」

「おー…よく知ってんな??」

 俺が面倒くさくていちいち結果を報告してないのに、樹深は何でか把握してる模様。

「フフフ…レギュラーになったのも知ってるよ」

「え」

「っていうか、そういうのは早く言ってよ。おめでとう」

 先輩の犠牲ありきのレギュラー獲得だったからな…なんていう俺の複雑な思いを樹深は知らない。

 知らなくてもいいけど。俺自身も、あんまりしんみりしてられないし。足を引っ張らないように、必死になるしかない。

「…おー。ありがとなー」

 やっぱり色々話すのが面倒くさくて、樹深にはそれだけを言って、机の上で両肘を抱え込むように丸まった。

 するとふと、樹深の手が伸びて俺の眉間をちょいちょいと擦った。

「…あんだよ(笑)」

「(笑) しわ寄ってる」

 コレ、小さい時からの樹深の癖、かまってちゃんサイン(笑) 本人は気付いてないらしいけど。

「ねみぃんだよー、寝かしてくれよー」

 樹深には悪いけど、分かってても本能には勝てない。ますます縮こまる俺を見て、樹深はふっと笑う。





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