悠の詩〈第2章〉

6/80ページ

前へ 次へ


「そんな、ハズは…少年野球であんなに頑張って…中学でだって、さあ…」

 口の中が異様に渇く、混乱する気持ちのまま絞り出す俺の言葉にも、彼らは容赦なく返してくる。

「んなコト言われても…あ、仮入部だけ入ってたヤツらの中にいたかも?
 本入部になってやっぱりやめますぅ~ってさ、結構な人数いたな」

「どれがどいつなんて覚えてられないよ。
 根性も実力もないのは最初から来ないで欲しいわ…」

 ソコ、何してる! と先頭から怒号が飛んで、やべっと竦みながら俺の顔を見ないで、二人は走っていってしまった。

 俺はしばらく立ち尽くしていたけど、誰かがホームランでも出したか、ワッとスタンドが沸いたのを聞いてハッとなった。

「……」

 戻らなきゃ。皆の所へ、足早に帰る。

 すると皆は、荷物をまとめて移動する所だった。

「やっと戻ってきた、柳内おっそー。
 ほら、練習用グランドの予約時間になるから行こう。体あっためるぞー」

 結局また同じ道を行く。

 話を聞かされた地点に差し掛かると、なんでだよユキ、なんでだよユキ、こだまの様に頭に鳴り響く。

 自然と歩みが鈍くなって、皆が先に行っちゃった事にも、後ろから「あの、キミ!」と声を掛けられた事にも全く気付かなかった。



「──キミ、○○○中の、さっき清水の事を聞いてきた人じゃないですか?」





6/80ページ
スキ