ボーダーライン〈後編〉

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 光の正体は、松堂さんが被っているヘルメットに付いたライトだった。

「ほんとお前ら…何やってんだよっ」

 鋭くそう言った松堂さんは汗だくで、僕達の為に急いで登ってきてくれたのが伝わった。

「「すみません…」」

 すっかり落ち込んで僕達が小さくなっていると、松堂さんはふっと笑って、

「ほら、懐中電灯。
 山口とノブは先に下りて、すぐに家に帰れ。
 他の奴らは先に電車で帰って貰ったから。
 俺は、ツムちゃんを背負って下りるから」

 部長らしくテキパキと指示を飛ばした。

「え…っ」

 驚いている僕をよそに、山口さんは僕の背中にそっと手を置いて、

「わかった、頼む。お互い下山したら掲示板に連絡な」

 と短く言って、その場を離れようとした。

 まって、今、松堂さんと紡木さんを二人にしたらまずいんじゃないのか? 松堂さんに対してつらいと零した紡木さんを、放っとけない。

 こんな状況になってさえも、僕はそんな心配をした。

 でも…紡木さんの両足を丁寧に診てさらにテーピングする松堂さんと、それを不安げなく見つめる紡木さんを見たら、自分にはもう何も出来ないと…痛感した。

「松堂さん…ありがとうございましたっ。紡木さん…無事に下りてきてね!」

 少し離れた先から振り返ってそう声を掛けたら、「おう」「ノブくんも山口さんも気を付けて」と、二人の声が暗闇を飛んだ。

 懐中電灯を持って僕は山口さんと一緒にゆっくり下山した。



 およそ20分後僕は麓に戻れて、そのまま山口さんの車で家まで送って貰った。

 下山したら連絡、という約束を忘れて、思い出したのは自分の部屋に入ってから。慌てて書き込むと、山口さんも忘れていたようでそのすぐ後に【ただいま!】と書き込まれた。

 松堂さんの書き込みは…ない。紡木さんのも。下山はとっくにしているはずなのに。

 書き込みがあるまで待とうとしたが、今日一日の色々な出来事ですっかり疲れたから、ベッドの上で大の字になってそのまま寝落ちした。



 掲示板が更新されたのは、深夜2時近く。

【今更だけどただいま!無事に帰りました】【皆さんご迷惑かけて本当にすみませんでした】

 ほぼ同時刻の二人の書き込み。

 たまたま目が覚めてこれに気付いて、【よかった、お帰りなさい】とだけ打ってまた眠りに落ちた。



 何故こんな時間に? という疑問を持つのは少し後のこと…





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