悠の詩〈第2章〉

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「先生!?」

 何を馬鹿なという顔の柏木、その悲鳴はおそらく廊下まで響いたんじゃないだろうか。

 それを平然と受け止めて涼やかに笑うコタ先生は、顎に手を宛てながら続ける。

「まあまあ、話を聞いてくれ。
 あの後ずっと考えてたんだけどなぁ。
 柏木、すっかり覚えたし、上達早いし、このまま本番を迎えても大丈夫そうだけど…
 柏木お前、この学校位の人数の前で何かしたりした事、ないんじゃないか?
 そしたら尚更、大勢の前での場数を踏むべきじゃないかと…先生は思ってな?」

 先生が一度ここで切る。

 てっきり柏木が食って掛かるかと思った、演劇で度胸はついてるとか言って。

 でもそうはせず、(考えてみたら、何も知らない樹深の前で言えるわけがなかった、)恨めしそうに先生に目を向けただけだった。

 コタ先生はくくっと肩を揺らして、柏木、俺と樹深、と順番に視線を送って、更にこう言った。

「そこでな。
 後藤、ギターに興味あるようだし。
 柳内は、ほら、体育祭での応援団。太鼓担当だったろ、なかなかリズム感よかったし。
 お前達仲いいし。
 生徒会の出し物の前座、ツインギターとドラムでいける、ん、じゃ、な、い、か、と、お、も、っ、て、さ?」





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