FALL

18/87ページ

前へ 次へ


 冬の海は寒かった、当たり前だけど。

「あっ、足湯発見ー♪」

 坂本とスイちゃんが同時に叫んで、足湯に走っていった。

 俺とマナちゃんは顔を見合わせて、苦笑いをした。

「なんかごめんね? 俺のツレが(笑)」

「こっちもごめんなさい、ツレが(笑)」

 マナちゃんとは穏やかな空気で喋れる。不思議と安心感があった。

「えっ? タオルとか常備されてないの? ありえないっしょ!」

 足湯に着くなり、スイちゃんが騒ぎ立てた。ありえなくは、ないかと思う。

「あ、よかったらこのタオル使って。一応人数分持ってきた」

「さっすがー、マナちゃん! 気が利く人だあー」

 うざいくらいにマナちゃんを褒めちぎる坂本、マナちゃんが若干ひいてる(苦笑)

「坂本、うっさい。
 だあーぁ、きーもちいぃー」

「わ、相田ジジくせー(笑)」

 俺が一番に浸かったのをきっかけに、皆が続々と入っていく。

 海を眺めながら入っていたかったので、自然とそちらに向けて一列に並ぶ、スイちゃん、坂本、マナちゃん、俺の順。

 風が冷たかったが、空はすっきり晴れて、足が温まっていると身体全体もぽかぽかするから、不思議と冬を感じなかった。

 しばらくたわいもない話をして、ふと坂本が後ろを振り返り、あっと声を上げた。

「ここからワイルドノース、近いんだな!」

 ワイルドノースはここらでは有名な大型室内プール施設。木々の向こうにちらっとウォータースライダーが見えた。

 いつかこのメンバーで行ってみるか!? と坂本が浮き足立って提案して、スイちゃんもそれにノリノリだった。

 マナちゃんはまた苦笑いをして、俺を見た。

「坂本、今日は海、今日は足湯だろ(笑)」

 正直に言うと、これ以上踏み込むのはなんか違うなと思った。自分のカンだけれど。

 だからプールに行く話はお流れになってほしい、と思った。





18/87ページ
いいね!