悠の詩〈第2章〉

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 そして放課後になって、文化祭準備の時間。

 皆が皆最後までいるワケじゃない、1時間経つ頃には半数ほど抜けていく。

 樹深たちのように部の展示準備へ行くのもあるし、大会が近くて練習に行ってしまう運動部の奴らもいたし、塾だのに忙しい奴もいた。

 最終下校は全て(準備作業も部活動も)17時半と定められていて、17時になると先生からの追い出し宣告が始まる。

「おぉーい、17時回ったぞー、帰る支度しろよー」

「はあーーい」

 不思議とこれに逆らうやつはいない(笑) キビキビと片付けて、次々と昇降口から出ていく。

 俺もいつもならその中に紛れるんだけど、昼間言われた通り音楽準備室へ向かった。

「あ、春海ちゃん来た」

 ノックして扉を開けると、樹深と柏木が既に来ていた。

「あれ、お前らもう来てた? 遅くなるかもとか言ってたのに」

「うん。学校で出来る事は済んじゃったから、今日は早めに切り上げたんだよ。
 文化祭までの集まりもあと2回ぐらいで足りちゃうらしいよ。ね、柏木さん」

 樹深が振ると、柏木は澄ました顔でうんと頷いた。

「で、先生は? 何で呼んだ本人がいねぇんだよ」

 コタ先生の姿がなくて、俺は苦笑いをする。

「さっき出ていったよ、すぐ戻るからって言って。
 …早くしてくれないかなぁ、すぐ帰りたいのに」

 腕を組んで暮れていく窓の外を見ながらそう言う柏木、ピリピリと突き刺すのはやめてほしい(苦笑)

 とそこへ、コタ先生が戻ってきた。

「おっ揃ったな? 3人とも準備作業お疲れさん」

「先生、早く用件言って下さい」

 被せるように訴えた柏木を、まあまあと先生はなだめた。

「すぐに済むかはお前達次第なんだけどな…先生が考えた事、ちょっと聞いて貰ってもいいか」

 穏やかな顔で言いながらパイプ椅子に座るコタ先生に、俺達の視線が集まった。

 何だろう?

 それは

 ぶっ飛んだ提案だった。





「お前達3人でバンド組もうかと思うんだけど」





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