悠の詩〈第2章〉

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 2学期が始まり、また飛ぶように時が過ぎていく。

 2学期といえば行事が盛り沢山。体育祭とか合唱祭とか文化祭とか。野球部の新人戦トーナメントなんてのもあったし、中間テスト期末テストも。どれも楽しかったし苦しい時間もあったけど…

 これから話すのは、そこからちょっと外れた、ひょんな事から大事に発展した(と俺は思ってる)非日常の日々である(とこれまた俺は思う)。



 それは、合唱祭の後の、次は文化祭の準備を…という頃。10月半ばくらい。

 この中学では、各学年6クラスあって、その内の各学年2クラスが、文化祭(2日間)の午前の部で演劇を披露する。これは抽選で決められて、残りのクラスは午後の部で展示ブースを構える。

 当日の拘束時間を考えると、演劇に当たった方が2日間とも午後は自由に回れるので、ほとんどが演劇を望んだはず。

 俺達のクラスは撃沈、展示ブースに決まった。

 中学ではまだ飲食ブースを許されていなくて、じゃあ何が楽しいんだ?

 そうぶーたれながらも、皆でクラスでの出し物のアイデアを休み時間なり昼休みなり放課後なり出し合っていた。

「えー1年4組の皆さん、ここ数日のアイデア出しのご協力感謝です!
 この後昼休みに委員会あるんですけど、最低3つのアイデアを出すよう言われているので、1番多かった【スタンプラリー型迷路】、次に【なりきり美術館】、その次に【古き良きゲームセンター】、この3つを持っていきたいと思います」

「他のクラスと被った場合は抽選となります。3つとも被っちゃって抽選にも漏れちゃったら…また皆さんに相談を持ちかけますんで、その辺りよろしくお願いします!」

 弁当の時間に、実行委員の船田と由野が教壇の前に出て声を張り上げた。

 「賛成ー!」「競争率高そう~!」「抽選になったら絶対当ててよ!?」色々な声と拍手を浴びて、ふたりは苦笑いを浮かべていた。





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