FALL

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 翌日。

 寮の布団で目を覚ます。

「はーあぁ。昨日はちょっと、飲み過ぎたかなぁ…」

 気持ち悪いとかじゃないけれど、飲み過ぎたと感じた時は、朝起きて昼頃までいつまでも凄く眠い。

 のそのそと布団から這い出て、洗面所で顔を洗っていると、ドンドン、ガチャ、誰か入ってきた。

 見なくても分かる、坂本だ。

「相ちゃーん♪ 準備でーきたぁ?」

 坂本も相当飲むけど、次の日はいつもスッキリした顔。

 あ、飲んだら決まって吐くからだ。全部出して、身体に酒を残さないんだろうな(笑)

 後始末を俺がするのもお決まり。居酒屋のバイトの経験が役に立つ。

「準備って? 何かあるんだっけ」

 坂本が“相ちゃん”と呼ぶ時は、大抵何か企んでいる時。“相ちゃん”呼びは靖子から広まった。

「え!? 忘れたのかよ!?
 マナちゃんとスイちゃんと俺らで、海へドライブに行くんだろ!?
 あー、チョー楽しみ!♪」

 わざとらしく両手を組んで片頬に寄せる坂本。

 あー…そういえば昨日。

 飲み会が終わって解散する時に、マナちゃん(前回携番貰った子)とその友達のスイって子と約束したんだった、坂本が勝手に。

 坂本、マナちゃんを狙っているらしい。

 カラオケの時は芽衣子ちゃん狙いって言ったくせに。

 と、無意識に出た芽衣子ちゃんの名前。

 昨日過ごした時間を思い出すと、ふわっと心が温かくなった。

「海、寒いよな」

「あ、知ってる? 新しく足湯が出来たらしい」

「あ、まじで?」

 黒のダウンジャケットを持って、坂本と一緒に部屋を出た。





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