レンズの向こう側

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 ロッジで早い晩ごはんを済ませたあたし達は、コテージに向かって歩き出した。

 片手にスキー道具一色、空いた手同士で繋いでいたんだけれど、ノブキが少し前を歩いてあたしを引っ張る感じ。

 満天の星を見上げながら歩いてたあたしは、ノブキの背中に向けて言った。

「ノブキ? もう少しゆっくり歩こうよ。星、沢山出てるよ」

「ん? ウン。きれいだね」

 それだけだった。

 いつもならはしゃいでカメラを構えるシチュエーション。

 それをしないのは…やっぱり、山小屋でのあたしの態度を気にしてるから?

 いつもの雰囲気に戻ったと思ったのはあたしだけだったのか…

 急に気持ちが沈んで、あたしも無口になった。

 その様子にノブキが気付いて振り返った、何か言いたげに顔を歪めてる。

 いけない、また不安にさせた。もう笑顔でいるって決めたのに。

 あたしはノブキの目をしっかり見つめながら、ニコッとした。

 するとノブキの顔も緩んだ。

「ごめんね。
 せーちゃん寒くない? 早くコテージであったまりたいかなと思って…」

 ノブキらしい気遣いが嬉しい。なのに、あたしはわがままを言っちゃう。

「ちょっとだけいい? 止まってノブキと眺めたい」

「ウン。
 …あ、ゴメン、1枚だけ」

 そう言って、スキー板を積雪に差してミニザックからカメラを出した。

 大分後ろへ下がってあたしと星空が収まるように、カシャリ。

 あたしの隣に戻ってきたから、

「見せて?」

 と言うと、

「ウン?
 …あとでね」

 囁くように言ってカメラをしまって、あたしの頭を静かに抱き寄せた。

 その拍子にあたしは持っていたスキーを放して、ノブキの腰に両腕を巻き付ける形に。

 あたしの重みを全て受け止めたノブキはよろめいて、雪に尻もちをついた。

 頭を抱えられたままのあたしも一緒に、雪に膝をついて、ノブキの脚の間に収まった。





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