レンズの向こう側

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「ひぁ、ノブキ…予想以上に冷たい(笑)」

「ごめん、でも追い出さないでね(笑)」

 毛布の合わせ目を閉じて、あたしの横にぴったりくっつくノブキ。ノブキの体の奥の熱が徐々に伝わる。

 こんなに近いのに…肩なり腰なりに手を回すのがカレカノなのに、ノブキは決してそれをしない。

 キスの時もそう。手を握って、あたしの頬や頭を撫でながら二人の距離を詰めるけれど、そこまで。

 ノブキの心の準備はまだなんだろうかな。

 この旅行でもしかして、って思ったけど、高望みなんだろうかな。

 だったら、あたしはもう、気にしないでいるしかないじゃないよ。

「ん?」

 ノブキはあたしの視線に気付いて、首をかしげながら微笑む。

「いや、なんでも。
 あ、そだ、降りてくる時にキツネの親子の写真撮ったって言ってたね」

「うん。見る?」

 わざと話をすり替えたあたしには気も留めず、ノブキはウェアと一緒にその辺に置いてたミニザックを手繰り寄せて、カメラを取り出した。

 そしてデータを画面に映し出す。

「あは、かわいい…でも、雨に濡れちゃってかわいそうだね」

「うん。すぐにどっか行っちゃった。住処がすぐ近くだといいけどね」

 先に行ってしまったお母さんギツネを追う、たどたどしい子ギツネの後ろ姿を捉えた画像を、あたし達はいとおしそうに見つめた。

「……」

「……」

 無言の時間が流れる。

 全然気まずい雰囲気じゃないけど、ノブキは少し音が欲しかったみたいで、

「せーちゃん、ラジオつけてもいい?」

「へ」

「ホラこのライト、ラジオ付いてんの」

 毛布の裾から懐中電灯に手を伸ばした。

 スイッチをスライドさせてラジオモードにする。

 ザーッと雑音が響いて、チューニングのダイアルを調節していくと、この辺りで流れているローカル局を拾えた。

 ジャズ特集とかで、その類いの旋律がスピーカーから聞こえてきた。

「いいけど、ラジオまで流したら電池消耗が激しいんでない?」

「大丈夫、俺予備の電池持ってきてる」

 だからさ、ノブキ、準備良すぎ(笑)





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