漆黒の王女〈後編〉

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 僕は早速、アストラおじさんの所へ通信を飛ばした。僕達の家には誰もいないはず、親方達が戻っているとも思えない。

 なかなか向こうが受信してくれなかった。知らない所からの発信だから、怪しまれていたのかもしれない。

 ツー、ツー、と沢山音を聞いた果てにガチャリ、

『もしもし、どなたですか? ドーゾ』

 最後に聞いてからまだ1週間くらいしか経ってなかったのに、もうずっと前のような気がする。

 信頼の厚いアストラおじさんの声を聞いて、僕は心底安堵したんだ。

「おじさん、僕だよ。サザンです」

『サザン!!』

 僕のうわずった声を聞くと、おじさんは歓喜の声を上げた。

 その後ろから、アルテとベスタおばさん、そしてなんと、親方とおかみさんの声もあった。

『サザン! 無事なのかい!? シーナは!?
 あぁもう、妙な胸騒ぎがして向こうを早く切り上げて戻ってきたら、あんた達の姿が無いから…!
 アストラから知る限りの事を聞いて、気が気じゃなかったんだからねぇ…!』

 おかみさんがわぁわぁと泣きながら喋るのを、僕とシーナは肩を縮み込ませながら聞いた。

 その後で親方が代わり、僕はこれまでの事をかいつまんで話した。

『なるほどなぁ…そういった経緯で、シーナは記憶をなくして俺達と出逢ったんだなぁ』

 親方は感慨深げに言った。

『なぁシーナ。
 せっかく記憶が戻ったというのに、お前さんの住処の城が焼けちまって…
 サザンと一緒に帰ってこい。また皆で今まで通り暮らそうや』

 親方のこの言葉に、じいやさんが憤慨した。

「姫様!
 漆黒城を、王とお妃と共に過ごされたあの城を、手離すと申されるか…!?
 それは、それはなりません、そんな酷な事だけは、どうか…!!」

 じいやさんの涙ながらの訴えに、シーナもすっかり同調した。

「うん…私も…お城をあのままにしておけない…」

 すると、横からアストラおじさんがひとつ提案をした。





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