夜間飛行

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「ふふっ…そっかぁ、そうだったんだね」

 ザザとサザンの瞳に宿る若葉色はいつも優しさを纏っていて、きっとお父様とお母様にたっぷり愛情を注いで貰っていたのだと、今の話を聞いて殊更確信する。

「サザンが行く所にも、あの星が見えてたらいいね。
 ザザも、お父様もお母様も、きっとあそこからサザンの事を見守ってくれるよ」

「うーんどうかな…あの星、本当に空と海しか無いとこにしか出てこないんだよねぇ。
 まあ、向こうでも探してみるけど。見つけたら忘れずに地図に書き込んでおこう(笑)」

 カラカラと笑いながらサザンが地図とスコープをしまったところで、

「あっ」

「えっ、なに、どうしたのシーナ」

「今すっごく動いてる、ほら」

 私はサザンの手首を掴んで、サザンがびっくりしているのにも気に留めずに、その手を私の膨らんだおなかに導いた。

「あ、と、ちょっと、シーナ?」

「ぐるんってしてるの、分かる? 胎動を感じる様になってから、色んな人に触って貰ってるんだけど…まだ誰も、動いているのを分かって貰えてないんだよね」

「いや、まだよく分かんないけど、あの、シーナ」

「うん?」

 歯切れの悪いサザン、目を泳がせているのでさすがに可変おかしいと思い、言葉を止めて聞いてみる。

「えとさ、エルさんはまだ、知らないよね、それを」

「? うん。まだ帰ってきてないもの」

「最初を感じて貰うのはやっぱり、パパがいいんじゃないかな、と、思うんだけど僕は」

 エルさんに怒られちゃうよ、とまたそんな事を言うサザンは、どこまでも気遣いの子だと感心してしまう。





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