夜間飛行

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「シーナ? どうしたの、ヘンなカオしちゃって。
 あっもしかして、調子悪くなっちゃった? あぁ、やっぱりこんな冷えた夜に連れ出すべきじゃなかったんだ、帰らなきゃ」

 またサザンの慌て癖が出た、帰り支度をしようとするサザンを笑いながら止めた。

「ちょっと、サザン落ち着いて(笑) 私なら全然大丈夫だから。
 もし本当に具合が悪くなったら、ここでちょっと横になればいいだけだから。
 それよりほら」

「うん…?」

「星が綺麗だよ。地平線のすぐ近くまで瞬いているよ。帰るなんて勿体無いよ」

「ん…そう、だね。ごめん」

 バツが悪そうにつぶやいたサザンの口元から白い息が上がっていき、世界中を覆うこの星空に紛れていった。

 私達はスープを飲み干すのも忘れて、しばらく静寂の天体ショーに浸っていたのだが、

「あっ」

 サザンが思い出したように声を上げる。

「どうしたの?」

 私の質問に、さっきのスコープをまた腰から取り出して、ピント合わせで鏡筒をクルクル回しながらサザンは答えた。

「うちの村からはほとんど星なんて見えないから忘れてたけど…
 ここからなら見つけられるかもしれない、姉さんが一度だけ見たっていう星を」





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