12月24日の灯り

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「…っ?」

 ふと左脚に妙な衝撃を感じて、タケトが下を向くと、可愛らしい耳当て帽子を被った小さな男の子が、泣きそうな顔でしがみついていた。

 迷子かな? 親は? と思ってタケトはしゃがんで男の子の目線に合わせた。

 すると男の子は、堰を切ったようにこう嘆願したのだ。



「サンタさん…



 おねがい…



 雪をふらせて…



 ハルちゃんがいっちゃう前に…



 やくそくしたんだよ…



 次もいっしょに雪をみようねって…」



 タケトは目を丸くした。高校生の俺になんて無謀なリクエストをするんだろう、ってこの子からしたらちゃんとサンタに見えるんだろうな。

 サンタじゃないけど、しがないただのバイトだけど、何か気の利いた事を言わなくては。

 考えあぐねていると、この子の母親らしき女の人が「マサト!」と駆け寄って、タケトの脚から引っぺ剥がして向こうへ連れていってしまった。

 男の子が何度も袖で涙を拭くのを遠目で見て、何ともやりきれない思いでいると、横からパラパラと紙を捲る音。

 黒須が真剣な顔でメモ帳みたいなのを眺めていた。



「ねぇ、キミさぁ…





 ユキムシってご存知?」





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