12月24日の灯り

65/71ページ

前へ 次へ


 次の日はすっかりいつも通りだ。

 違うといえば、今日は学校の終業式で早い下校、それくらいだ。いつもの様に朝の支度をし朝ごはんを頂く。

「ああ、もしかしたら家にいないかもしれないから、一応鍵を持っていきなさい」

 登校直前にそんな事を言われて、頷きながら玄関の収納扉からスペアの鍵を取る。そこへ、

「まっまー、こえ、こえ」

 起き抜けの妹が半べそをかきながらボテボテとこちらに向かってきた。

 その手には、昨夜の私からの贈り物。サンタからは何を貰ったんだろう、とぼんやり思っていると、

「付けて欲しいの?」

 母親が星の髪留めを優しく取って、妹の前髪を斜めに流しながらパチンと留めた。

 ちょっと…大き過ぎたかもしれない。自分のチョイスに思わず苦笑いをしたが、

「にんにん、ばっばーい」

 アンバランスなど関係ないとばかりに、妹は満面の笑みを私に見せてくれた。

 登校班の出発時間までに余裕がなかった私は、

「いってきます」

 と早口で言って、妹の顔も母親の顔も、扉が閉まるのも見届けず走っていった。ただ、扉の開閉の間に、

「ねえりっちゃん、お部屋に何か無かった? 気付かず来ちゃったかなー……」

 と母親が言うのは聞こえたので、妹はまだ本命を手にも取っていないのだと分かった。



 終業式を終え、さほど悪くない成績表をランドセルにしまいながら身支度をしていると、

「なあおい、今日昼食べた後ヒマ? みんなで貰ったプレゼント見せ合いっこしようぜ」

 仲間からそんな提案をされ、自分のは皆で遊べるようなものじゃないし万人受けでもないが、行く事にした。

「じゃあタケんちでな。いつ来てくれてもいいってよ」

 みんなにはつまらないと思うと打ち明けても、俺達そんな気ぃ遣う仲じゃねぇだろと笑い飛ばしてくれる、とても有り難かった。





65/71ページ
スキ