12月24日の灯り
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ケーキを食べ終えると、妹がしきりに目を擦り出した。
「おなかいっぱいになって眠くなっちゃったかな、りっちゃん?」
「いつもより早い時間だけどお布団入ろうね、りっちゃん」
両親がかわるがわるに言うと、妹はまばたきと共にうんと頷き、
「お兄ちゃん、連れてってくれるか?」
父親の言葉の裏側──これから母親とふたりで贈り物を包む手筈だ──を読み取って私が伸ばした手を、きゅっと握った。
私への贈り物はそんな手順は踏まず、妹が昼寝をしている間に母親がさっさと手渡した。
「あんた、こんなのにして。お小遣い貯めれば自分で買えるじゃないのよ」
結局図鑑、当時私が好きだったイラストレーターの手掛けた、それなりに値の張るのをねだった。
母親の小言は想定内だったが、一応謝辞をぼそっと言って、すぐに自分の部屋に引っ込んだ。
それはベッドの上に放り投げたまま、ビニールを未だ剥がしていない。
ラッピングさえ頼んでくれやしないのかと…こんな日にまでやさぐれた気持ちになる自分が嫌になる。
「──あ」
母親と妹の寝室の前まで来た所で、ポケットに忍ばせておいた物の存在を思い出した私は、妹の前でしゃがみこんで妹と目線を合わせた。
妹は突然目の前に現れた兄の顔を、今にも閉じそうな目で見つめる。
「
妹の小さな手を開かせながらそう言って、ポケットのそれをポンと乗せた。
妹の重そうなまぶたが高速に開いた。
…