12月24日の灯り

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 しわくちゃの【誓約書】は私の勉強机の引き出しに入れ、その上から自分が描いたイラストやら学習プリントやらを被せた。

 これで見つかる事はないだろう──自分の視界から外れると、【誓約書】の存在も、あの男と出逢った事も、無かった事になったみたいだ…

 実際に、それを境に、矢のように数日が飛んでいった。



「──クリスマスプレゼント、何を頼んだ?」
「俺もう買って貰った──」

 ある日教室で友達とそんな話になった時に、今朝方母親に刺された小言を思い出した。

(いい加減何にするのか決めて、今日か明日中に。プレゼント無しでいいのならいいけど)

 相変わらず妹の世話に夢中で、こちらの顔も見ないで言い放つ。

 わかったよ、と言い残すだけして、自分も顔を見ないで登校した。

「──なあおい、学校終わったらみんなで野球やろうぜ」

 先日果たせなかった集まりの誘いを受けたが、今日は用事があって出掛けるんだ、また今度、と言って断った。

 家にあるカタログや新聞のチラシを見てもピンと来ないから、おもちゃ屋に行って直接見てみようと思った。





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