12月24日の灯り
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タケトのこのバイトは正午前から始まり、今、空がオレンジに染まろうとしていた。
クリスマスケーキの箱はようやく半分を捌けた所。
その頃に、やっともう一人の日雇いバイトがやって来た。
「遅れてすんませんでした! クロスです、宜しくお願いします」
外国人みたいな名前、あ、もしかして黒須っていう苗字かな。
サンタの衣装のフワフワ襟の下から、金のノルディック柄の刺繍の真っ赤なネックウォーマーが覗く。
なんか派手だなと思いながらタケトは彼を迎えた。
話を聞くと、元々来るはずだった派遣バイトのヤツが、急に連絡がつかなくなって、会社側が代わりの人間を探すのに手こずった──こんな日だから誰からもOKが貰えず──という事だった。
それなら仕方ないなと、タケトはさっきまでのイライラを帳消しにした。
「さぁ、どんどん捌いていきましょう!
いらっしゃいませぇ、美味しいクリスマスケーキ、まだまだありますよぉ」
そこからは、ウソみたいにケーキが売れていった。
陽が建物に隠れて闇が色濃くなって、もうすぐモールやもみの木のイルミネーションが点灯しようっていう時刻には、箱の数はもう両手の指で数えられるほどに減っていた。
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