12月24日の灯り
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泣き叫び通して、ぐすんぐすんと肩を揺らしながら夕飯を食べた妹は、疲れ果てたのかテレビの前でうつ伏せに寝息を立てた。
「今の内にお風呂入ってこよう。ちょっと見ててね」
母親はそう言ってバタバタと浴室へ姿を消した。
自分の部屋で読もうと思ったのに、漫画雑誌に伸ばしかけた右手は溜め息と共にだらりと落ちた。
今夜は面白い番組もやっていなさそう、点けっぱなしのテレビを消したところで、私の視界にある物が入った。
ソファーの上に無造作に広げられた、大手おもちゃチェーン店の商品冊子。妹への贈り物にと物色している真っ最中なのだろう。
私には決めたら教えなさいと言うだけ。妹にはいい子にしていたらサンタさんがプレゼントをくれるのよ──かつては私もそう言い聞かされ育ってきた──と猫撫で声で言う。
あんたも話を合わせて、理不尽な圧を受けなければならない私は一体何々だろう。
今年のプレゼント、何にしようかな。外にいた時に思った事を再度思う。この冊子のラインナップは私の年齢にはもう合わない、それでもパラパラと目を通した。
(…あっ)
ソファーに腰を沈めた時お尻に違和感があって思い出す。
あの怪しい男から貰った、ズボンのポケットに無造作に突っ込んでくしゃくしゃになってしまった紙きれをそっと取り上げた。
膝の上で手アイロンしながら広げると、【誓約書】の文字が異様に浮いて見えた。
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