12月24日の灯り
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今年の見守りの事が書かれた手帳をペラペラと捲っていると、おや? と思った。
北風を受けて冷たいはずの背中がふわっとあたたかくなって、ぽんと軽く肩を叩かれた。
「あなた。お仕事は終わったの?」
声のした方へ体を向けると、僕の奥さんが静かに笑って立っていた。
ふふ、驚いた? 僕、結婚してるんだよ。
生まれた時からすでにパートナーになる事が決まっていて、決められた相手とどうして…とは決してならない僕達の仕組み。まあ、都合よく出来てるって事。
肩から背中にかけて覆われたものにそっと触れる、真っ白い手編みのショールだった。うちの奥さんは毎年何かしらの編み物を僕にくれるのさ。
「ああ、もうすぐ終わるよ」
「あら、まだ何か?」
僕の返事に奥さんは不思議そうな顔をした。
「あの部屋が、今年最後さ。一緒に来るかい?」
「あらお供していいの? よろこんで」
嬉しそうに僕の横に並ぶ奥さんの肩を抱いて、最終目的地のとあるマンションの一室へと向かった。
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