12月24日の灯り

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 夜も大分更けてきた。

 心の灯火が大なり小なり煌めく所を離れると、民家が少なくなって、どうやらこの辺りは少し過疎化しているようだ。

 新たな灯火に出逢えない代わりに、空には満天の星たち。今年は雪は降らないのだろう。

 そんな事を思っていると、何か言い争っているような声が、実際には聞こえないんだけれど僕の脳に届いた。

 歩みを止めて辺りを見回すと、薄暗がりの中に建屋があるのを認めた。

 そこは【○△のいえ】という孤児院で、

(消灯の時間よ)
(歯磨きは済ませた?)
(ケーキを沢山食べたから虫歯にならないようにね)
(ツリーの電気だけは夜じゅう点けておきましょう)

 親代わりである先生たちが──彼女たちからも心の灯火が──口々に言い、忙しそうに動き回っていた。

 言い争いの声はそこからではなくて、施設の中のひと部屋。

 十にもならない位の男の子ふたりが、早く電気を消して寝ないとサンタが来れないだの、寝たフリをして息を潜めて絶対サンタの顔を見てやるだの言い合っていて、

 そこにもうひとり、十を少し過ぎた女の子がベッドの縁に座ってその様子をうかがっていたのだけれど、すっくと立ち上がってこう諫めた。

(あんた達、もういい加減にしてよ。
 そんな聞かん坊なことばっかり言う子には…
 黒サンタがやってきて、動物の内臓を贈りつけられるって知ってる??)





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